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2019 年度 実績報告書

粒子線治療の費用対効果評価のための標準的な手法とデータに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17H04099
研究機関立命館大学

研究代表者

森脇 健介  立命館大学, 総合科学技術研究機構, 准教授 (10514862)

研究分担者 林 宏至  北海道大学, 大学病院, 特任講師 (10622532)
奥村 敏之  筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50241815)
清水 伸一  北海道大学, 医学研究院, 教授 (50463724)
加藤 徳雄  北海道大学, 医学研究院, 助教 (80572495)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード費用効果分析
研究実績の概要

本課題では、切除不能の肝細胞癌を事例とした陽子線治療の費用対効果評価の標準的手法の確立を目的とした研究活動を行っている。陽子線治療の臨床試験データを用いた費用効果分析の実施方針の作成は、おおむね完了しており、データの蓄積を待つ段階にあるため、本年度は標準的手法の確立に向けて、以下2点の取り組みを行った。1)近年のがん治療の費用効果分析方法のレビュー:イギリスのNICEが近年実施した癌治療の費用効果分析のレビューを行い、癌種、分析枠組、モデル、分析期間、外挿法、評価結果について記述・要約を行った。2018年1月~2020年1月に公表された技術評価ガイダンスは66件であり、うち41件(62%)が癌に関する事例であった。癌腫は41件中、15件(36.6%)の血液癌が最多であり、肺癌8件(19.5%)、乳癌6件(14.6%)がそれに続いた。なお、83.3%の事例でPartSA(Partitioned survival analysis)モデルが用いられた。また、血液癌では単群試験に基づく費用効果分析事例も確認され、陽子線の費用効果分析を進めるための参考事例と考えられた。2)がん治療の費用効果分析マニュアルの作成:PartSAモデルを用いた費用効果分析のための実践的なマニュアルの開発を行った。陽子線治療の事例はデータ収集中のため、切除不能な局所進行の非小細胞性肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法としてのデュルバルマブ治療の費用効果分析を事例として選定した。マニュアルでは、①カプランマイヤー曲線の画像から生存時間データを作成する方法、②パラメトリック関数のフィッティング法、③TreeAge Proを用いたPartSAモデルの構築・解析法を解説し、日本における癌治療の費用効果分析の推進を支援することが期待された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

費用効果分析のモデルの基本構造や費用・QOLの推定方針はこれまでの検討によりおおむね定まっている。追加的有効性・安全性については、現在もエビデンスが確立していないが、単群試験における間接比較法を先進B臨床試験のデータに適用することにより、費用効果分析に必要なパラメータ推定は可能と考えられる。一方、先進B臨床試験の患者のエントリーが予定より遅れていることから、今後実施予定の費用効果分析におけるOS・PFS・費用・QOLのパラメータ推定の精度に影響する可能性がある。その場合は、広範な感度分析を実施し、分析結果の頑健性を確認する考えである。

今後の研究の推進方策

1)単群試験に基づく間接比較法の実施:利用可能なデータのもとで、Naive comparison法またはSimulated treatment comparison法による解析を行い、TACEと比較したPBTの追加的有効性・安全性の評価を行う。2)費用・QOLの解析:先進B臨床試験でのレセプトおよびEQ-5Dデータの収集・整形作業を継続して実施する。また統計解析により各種費用・QOLパラメータの推定を行う。3)費用効果分析の実施:Partitioned survival modelを用いて利用可能なデータ源のもとで暫定的な費用効果分析を実施し、課題抽出を行う。4)癌治療の費用効果分析のマニュアルのアップデート、公表を行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Factors influencing the prescribed dose of opioid analgesics in cancer patients2020

    • 著者名/発表者名
      Hashimoto M, Aogaki K, Numata C, Moriwaki K, Matsuda Y, Ishii R, Tanaka I, Okamoto Y
    • 雑誌名

      Journal of Opioid Management

      巻: In press ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 医療技術の費用対効果評価ー基本手法と事例ー2019

    • 著者名/発表者名
      森脇 健介
    • 雑誌名

      日本整形外科学会雑誌

      巻: 93 ページ: 606-613

  • [雑誌論文] B. I. T. -Development of a dynamic visualization tool for Bayesian inference on various types of normal distributions for medical decision-making and education-2019

    • 著者名/発表者名
      Inoue H, Uchiyama H, Moriwaki K, Yanagisawa S, Nishimura K
    • 雑誌名

      Niigata Journal of Health and Welfare

      巻: 19(1) ページ: 24-36

    • 査読あり
  • [学会発表] 進行性の腎細胞がんに対する1次治療としてのニボルマブ+イピリムマブ併用療法の費用対効果評価の試み2019

    • 著者名/発表者名
      前田 知美, 日高 諒, 古林 健吾, 森脇 健介
    • 学会等名
      第29回 日本医療薬学会
  • [学会発表] 切除不能肝細胞癌に対する1次治療としてのレンバチニブの費用効果分析2019

    • 著者名/発表者名
      古林 健吾, 日高 諒, 前田 知美, 森脇 健介
    • 学会等名
      第29回 日本医療薬学会
  • [学会発表] 切除不能の局所進行非小細胞性肺癌に対する維持治療としてのデュルバルマブの費用効果分析2019

    • 著者名/発表者名
      日高 諒, 古林 健吾, 前田 知美, 森脇 健介
    • 学会等名
      第29回 日本医療薬学会

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公開日: 2021-01-27  

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