研究課題/領域番号 |
17H04101
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
櫻井 文教 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (70370939)
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研究分担者 |
大河原 賢一 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30291470)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 腫瘍溶解性ウイルス / レオウイルス / Drug delivery system / 腫瘍ターゲティング / 癌関連線維芽細胞 |
研究実績の概要 |
腫瘍細胞特異的に感染し、腫瘍細胞の細胞死を誘導する腫瘍溶解性ウイルスのひとつであるレオウイルスは、その優れた抗腫瘍効果から大きな注目が集まっている。レオウイルスの臨床応用においては、抗がん剤との併用療法が試みられている。近年、抗がん剤をナノ粒子製剤として腫瘍に高効率に送達するDrug delivery systemに注目が集まっているが、レオウイルスとナノ粒子製剤との併用療法に関する研究は行われていない。そこで、レオウイルスの前投与がナノ粒子製剤の腫瘍集積性に及ぼす影響について検討した。本年度は、ヒト膵臓癌細胞株BxPC-3細胞を皮下移植した担癌マウスを用いて、さらにナノ粒子製剤の腫瘍集積性について検討を進めた。B16腫瘍の場合と同様に、BxPC-3腫瘍においてもレオウイルス前投与によりナノ粒子製剤の腫瘍集積性が向上した。さらに、腫瘍内の血管内皮細胞を染色し、腫瘍内血管とナノ粒子製剤の分布との関連についても評価したところ、レオウイルス投与により、腫瘍血管の少ない腫瘍内部までナノ粒子製剤が分布していた。また、レオウイルス投与後の腫瘍内での1型インターフェロンなどのサイトカイン産生について検討したところ、B16腫瘍では著しい1型インターフェロン産生の向上が観察されたのに対し、LLC腫瘍においては有意なサイトカイン産生が観察されなかった。1型インターフェロンは、血管新生抑制機構を有することが知られていることから、1型インターフェロンによって腫瘍血管の成熟化が誘導され、その結果、ナノ粒子製剤の腫瘍内集積が増えた可能性が考えられた。また1型インターフェロンによってがん細胞の増殖が抑制されて、がん組織にナノ粒子製剤が集積するスペースが出来たものと予想された。以上の知見より、レオウイルスによる腫瘍でのサイトカイン産生誘導は、ナノ粒子製剤の腫瘍集積に影響している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (段落) |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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