研究課題/領域番号 |
17H04107
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
諫田 泰成 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 部長 (70510387)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 癌幹細胞 / リボソームフットプリント / 創薬 / 翻訳制御 / 乳癌 |
研究実績の概要 |
近年、乳癌など固形癌においても既存の薬剤に対して抵抗性を示す「癌幹細胞」が存在し、 抗がん剤による治療後も数パーセントの癌幹細胞が残存して癌が再発あるいは転移することが明らかになってきた。したがって、癌を根治するためには癌幹細胞を標的とした新たな治療薬の開発が期待される。 しかしながら、癌幹細胞を直接標的とする医薬品は実現していない。 申請者は、ホルモン受容体が陰性であるため有用な分子標的治療薬がないトリプルネガティブ型乳癌の解析を進めて、翻訳制御因子xが乳癌幹細胞に高発現しており腫瘍形成に関与する可能性を明らかにしてきた。 そこで、本研究では、リボソームに結合するRNA を次世代シークエンスで網羅的に解析するリボソームフットプリント法を用いて、癌幹細胞において、分子Xにより翻訳されるタンパク質を同定し、自己複製機構を明らかにすることを目指す。本年度は、リボソームに結合するRNAを網羅的に解析するリボソームフットプリント法のアッセイ系を立ち上げることに成功した。さらに、癌幹細胞において選択的に翻訳される可能性のあるRNAを網羅的に解析を行った。これにより、翻訳される分子の同定が可能となり、癌幹細胞において機能しているタンパク質の同定につながることが考えられる。 今後、分子Xを介した乳癌癌細胞の翻訳制御機構を検討し、乳癌の形成機構の解明を目指す。これにより乳癌の発症・転移等に新たな病態解明の手掛かりを与え、革新的医薬品の創製に向けた基盤が構築できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、リボソームフットプリント法を確立することに成功した。さらに、このアッセイ系を用いて、癌幹細胞においてリボソームに結合する分子群を得た。
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今後の研究の推進方策 |
今後、リボソームフットプリントの解析結果をもとに、癌幹細胞の増殖に関する因子のスクリーニングを行う。また、臨床サンプルの解析も並行して進める。
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