研究課題
近年難治性疾患に補体活性化の関与が疑われている。しかし現在、補体活性化と疾患病態を結びつける補体因子の適切な検査やその体制が存在しないために、その詳細は不明である。本研究の目的は、新規補体活性化測定系の開発と構築を行い、標準検査系である補体活性化分解物測定系を再整備・構築し、補体関連疾患の補体活性化病態メカニズムの解明を行うことである。最終年度までの研究は以下の7項目である。1.世界標準の補体系検査の構築 2.新規補体活性化測定系を開発・構築 3.疾患確定した既存患者血液を研究1,2の測定系に供し、検査の基準値設定 4.前向き試験で収集する患者血液を研究1,2測定系に供し、補体活性化度の評価 5.3,4における補体検査値と患者病態情報を得て、本補体関連疾患の補体活性化度の解析 6.補体関連疾患患者組織や血液における補体活性化状態の評価を7.実際の補体関連疾患患者における、有効な補体活性化測定系についての考察である。本年度までの基礎研究では、C3, C4, CH50, Ba, sC5b-9, C5a, CFH, CFI, C1-INH活性, CFH-IgGを測定できる補体因子検査系の樹立を行った。さらに、49名の日本人健常人の血液サンプルの測定を行い、上記10項目の補体因子の基準値の制定を行った。現在は、さらに、健常人の血液サンプルの採取を進め、研究終了時には100名での基準値を策定する予定である。また、補体学会と協力して、補体関連疾患患者の血液サンプルは順調に収集できおり、順調に補体検査も進んでいる。また、新規補体活性化測定系の開発と構築を並行して進めており、補体関連疾患の補体活性化病態メカニズムの解明の検討を行いながら、着々と研究を進めている。
3: やや遅れている
2018年9月、北海道胆振東部地震が発生し、停電が発生したため、世界標準補体検査系の策定に使用していた全血液サンプルと樹立した感受性細胞株が死滅した。2018年10月に補体学会から血液サンプルの再送付がされることになったため、世界標準補体検査系の策定を再開することとなった。また、同時に研究環境も整ったため、感受性株を再樹立することとなった。その結果、研究計画が6か月遅延することとなった。
2018年9月、北海道胆振東部地震による停電等の理由で、世界標準補体検査系の策定が若干遅れている。しかし、そのあとの対応を迅速に行えたために、きわめて順調に世界標準補体検査系の樹立は進んでいる。また、同時に進めてきた、補体高感受性株の樹立も順調に立ち上がっている。2019年度は、研究計画書であげた以下の1-7のすべてを遂行できると考えている。今後は、本研究で得られたデータを深く検討して、実際の補体関連疾患患者を評価できる、有効な補体活性化測定系の開発のための情報をできるだけ多く収集し、それらの情報を補体関連疾患患者や医療関係者へ役に立つ形で、発信していきたいと考えている。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (3件)
血液内科
巻: 78 ページ: 184-191
Clin Appl Thromb Hemost.
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巻: 印刷中 ページ: 印刷中