研究課題/領域番号 |
17H04109
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
村上 正巳 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30241871)
|
研究分担者 |
荒木 修 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (80589482)
常川 勝彦 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (30436307)
木村 孝穂 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (90396656)
黒沢 幸嗣 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (80648072)
奈良 誠人 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (80420165)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 甲状腺ホルモン / 脱ヨード酵素 / 脂質異常 / 動脈硬化 / 遺伝子解析 |
研究実績の概要 |
甲状腺ホルモンの動脈硬化進展抑制機構の解明を行うことを目的に研究を実施した。潜在性甲状腺機能低下を含む甲状腺機能低下症により脂質異常症を来たし、動脈硬化が進展することが知られている。トリグリセライド(TG)を多く含有するリポ蛋白(TG-richリポ蛋白)であるカイロミクロンはリポ蛋白リパーゼ(LPL)によってレムナントに代謝され、レムナントは肝性トリグリセライドリパーゼ(HTGL)によって代謝される。我々は、潜在性甲状腺機能低下症例において、レムナント様リポ蛋白-コレステロール(RLP-C)が高値を示し、甲状腺ホルモン(T4)の補充によってヘパリン投与後のHTGL活性の上昇とこれによるRLP-Cの低下を来すことを報告した。これまで、LPLとHTGLの測定は、ヘパリン投与後に採取された検体を用いて測定されており、甲状腺ホルモンによる脂質代謝の制御機構を解明する目的での多数例の検討は困難であった。今回、ヘパリン投与を行わずにLPLとHTGLを測定することが可能な方法を開発し、動脈硬化におけるそれらの意義を明らかにした。LPLは脂肪細胞や筋細胞で産生され、毛細血管内皮細胞に発現するアンカー蛋白であるGPIHBP1に結合することによって、血管内腔に移送されてTG-richリポ蛋白を代謝する。すなわち、GPIHBP1はLPLの活性発現に重要な役割を果たしている。我々は、GPIHBP1に着目し、その血中濃度測定法を開発した。その過程で、GPIHBP1に対する自己抗体によって著明な高TG血症を来す自己免疫性高TG血症の病態を解明し、The New England Journal of Medicine誌に報告した。今後、我々が開発したLPL、HTGL、GPIHBP1およびその自己抗体の測定法を用いて、甲状腺機能の影響を検討する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回、ヘパリン投与を行わずにLPLとHTGLを測定可能な方法を開発し、動脈硬化におけるそれらの意義を明らかにした。LPLは脂肪細胞や筋細胞で産生され、毛細血管内皮細胞に発現するアンカー蛋白であるGPIHBP1に結合することによって、血管内腔に移送されてTG-richリポ蛋白を代謝する。すなわち、GPIHBP1はLPLの活性発現に重要な役割を果たしている。我々は、GPIHBP1に着目し、その血中濃度測定法を開発した。その過程で、GPIHBP1に対する自己抗体によって著明な高TG血症を来す自己免疫性高TG血症の病態を解明し、The New England Journal of Medicine誌に報告した。
|
今後の研究の推進方策 |
我々が開発したLPL、HTGL、GPIHBP1およびその自己抗体の測定法を用いて、多数例を対象に解析し、甲状腺機能および甲状腺ホルモンを活性化する2型ヨードサイロニン脱ヨード酵素(D2)の一塩基多型の影響を検討する。個体レベルでのD2の役割を検討する目的で、我々の研究室で所有するD2ノックアウトマウスならびにアポEノックアウトマウスを用いて脂質代謝の制御機構について検討する。また、D2ノックアウトマウスならびに野生型マウスの大腿動脈をワイヤーにより傷害し新生内膜肥厚モデルを作製して比較し、血管傷害に対する生体反応におけるD2による甲状腺ホルモン活性化の役割を検討する。
|