研究課題/領域番号 |
17H04111
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岩谷 良則 大阪大学, 医学系研究科, 名誉教授 (60168581)
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研究分担者 |
日高 洋 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (30243231)
渡邉 幹夫 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (50294088)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自己免疫性甲状腺疾患 / 甲状腺自己抗原 / TLR / IL-18 / miR-146 / miR-27A / Argonate / TNFαメチル化 |
研究実績の概要 |
自己免疫疾患の発症と予後を規定している遺伝因子(遺伝子多型)と環境因子(エピゲノム情報としてのDNAメチル化、ヒストン修飾、non-coding RNA(microRNAなど))の両者を明らかにすることにより、自己免疫疾患の確実な発症・予後予測診断法を確立することを目的とした。そして、自己免疫性甲状腺疾患(AITD)の自己抗原であるサイログロブリン(Tg)や甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)の発現が高くなる遺伝子多型のゲノタイプ/アリルのときにAITDの頻度が高く、自己抗体(TgAb、TPOAb)が高値になることを見出した。また細胞傷害性T(Tc)細胞を活性化するTh1細胞を誘導するIL-18の産生が高くなるIL-18遺伝子多型のゲノタイプ/アリルで重症の橋本病(HD)の頻度が高くなり、同様にTh17細胞を誘導するIL-15の産生が高くなるIL-15遺伝子多型のゲノタイプ/アリルでも重症のHDの頻度が高くなることを発見した。さらに白血球の細胞内TLR7とTLR9の比が高くなる遺伝子多型のゲノタイプ/アリルの時に難治性のバセドウ病(GD)の頻度が高かった。 一方、エピゲノム変化で生じるmicroRNA(miRNA,miR)の中のmiR-146がAITDの発症と関連していたが、その測定値の個体内変動が非常に大きいことを見出した。そして、IL-10の産生を制御しているmiR-27aの遺伝子多型がHDの重症度と関連しており、miRNAに直接結合しその合成に関わるArgonate(AGO)1及び2がTh17細胞比率と関係してGDの発症や難治化と関係すること、そしてIL-10を制御するmiRNA(miR27a)の機能的な遺伝子多型がHDの重症度と関係することを発見した。 さらに、TNFαの産生にTNFα遺伝子のDNAメチル化が関係し遺伝子多型と共にGD/HDの発症に関わることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己免疫疾患の発症と予後に、遺伝因子(遺伝子多型)だけでなく、環境因子が引き起こすエピゲノム変化としてのmicroRNAやDNAメチル化が影響していることを明らかにすることができたので。
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今後の研究の推進方策 |
今回、自己免疫疾患の発症と予後に、遺伝因子(遺伝子多型)だけでなく、環境因子が引き起こすエピゲノム変化としてのmicroRNAやDNAメチル化が影響していることを明らかにすることができた。今後、さらに多くのエピゲノム変化を解析し、自己免疫疾患の発症と予後との関連を明らかにするとともに、確実な発症・予後予測診断法の確立を目指す。
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