研究課題
自己免疫疾患の発症と予後を規定している遺伝因子(遺伝子多型)と環境因子(エピゲノム情報としてのDNAメチル化、ヒストン修飾、non-coding RNA(microRNAなど))の両者を明らかにすることにより、自己免疫疾患の確実な発症・予後予測診断法を確立することを目的とした。甲状腺特異的な1型及び2型ヨードサイロニン脱ヨウ素酵素(D1及びD2)の遺伝子多型では、D2活性が高くなるゲノタイプの低頻度が自己免疫性甲状腺疾患(AITD)、特に橋本病(HD)の重症度と関連した。次に、Th2走化性関連遺伝子(CRTH2、IL-25、TARC/CCL17、STAT6)では、CRTH2の遺伝子多型が橋本病の重症度と、そしてTARC/CCL17の遺伝子多型がバセドウ病の難治性と関連した。さらに、Th17関連遺伝子(IL1Ra、IL6R、IL17R、IL21R、IL23R、CCR6、SOCS3、RORC、IL17A、IL17F、IL21)では、IL17RとIL17Fの遺伝子多型がそれぞれHDの疾患感受性と重症度に関連し、IL21とSOCS3とCCR6の遺伝子多型がバセドウ病(GD)の難治性と関連した。環境因子で変化するDNAメチル化率では、TNFA遺伝子のメチル化率が、TNFαの産生能と関連し、GDとHDの違いにも関連した。そして、DNAメチル化が遺伝子多型の違いにも影響されていた。すなわち、DNAメチル化と遺伝子多型の両者を同時に解析することの重要性が示された。以上より、自己免疫疾患の発症と予後を規定している主要な遺伝因子と環境因子を解明することができた。
3: やや遅れている
平成30年6月の大阪北部地震により事前準備の検体収集に遅れが生じたため、また一部の解析法の樹立が遅れたため、6か月の遅延が生じた。しかし、補助金の一部の繰越により、研究はおおむね順調に進展している。
6か月の研究の遅延が生じたが、補助金の一部を次年度に繰り越すことにより、その後の計画は順調に進行している。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件)
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