研究課題
放射線治療において、肺腫瘍などの移動や変形等を伴う対象動態を追跡し、それを追尾して連続照射する技術によりduty cycle増大、局所制御率向上と副作用低減の実現が期待されている。本年度は、これまで開発してきた腫瘍動態の画像計測法の性能改善を行い、その確度と精度を評価・検証した。また、さらなる性能向上を目指し、新しい発想の画像計測法を開発した。具体的な成果は以下の通りである。1.追跡用部分断層の確率的再構成法の実装と性能向上:昨年開発した、X線透視撮影を用いた確率的な移動体モデル同定により、高速な部分断層再構成法の腫瘍追跡性能改善を行った。とくに、同定に利用可能な訓練情報の時間標本間隔が粗い問題に対し、補間により滑らかな動きを再構築して訓練に使用した結果、追跡性能を改善することに成功した。2.動態に対する照射線量評価の性能向上:昨年開発した、画像追跡に基づき呼吸同期照射や連続追尾照射を行う際の線量評価シミュレータの性能改善を図った。このシミュレータは、動態を直接考慮する方式が特徴で、これまでよりも正確な線量評価を可能である。本年度はとくに、移動予測が困難とされるbaseline driftと呼ばれる動きを模擬し、これまで明らかにされていなかった線量への影響を評価することに成功した。3.新動態部分断層再構成法の開発:深層学習を用いた、仮想dual energy x線透視撮影法の開発を行った。本研究では、一般のsingle energy x線撮影画像を深層学習ネットワークに与え、dual energy x線撮影による差分処理で再構成される骨強調画像と腫瘍などの軟部組織強調画像を出力するように訓練することで、一般のx線透視像から、仮想的dual energy x線透視を実現した。これは、腫瘍動態の実時間画像追跡のための期待できる新手法である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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IEEJ Transactions on Electronics, Information and Systems
巻: 140 ページ: 49~60
https://doi.org/10.1541/ieejeiss.140.49
Entropy
巻: 21 ページ: 166~166
10.3390/e21020166