研究課題/領域番号 |
17H04118
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡部 浩司 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (40280820)
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研究分担者 |
田代 学 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (00333477)
志田原 美保 (古本美保) 東北大学, 医学系研究科, 講師 (20443070)
茨木 正信 秋田県立脳血管研究センター(研究部門), その他部局等, 研究員 (40360359)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 医学物理 / PET / NIRS |
研究実績の概要 |
本研究では、PET装置と光トポグラフィ装置を用いて、脳機能の同時測定を行い、マルチモダリティによる新しい脳機能診断法を開発することを目的とする。本年度は、以下のことを行った。(1)同時収集システムの精度向上、(2)ファントムを用いたPET画像とNIRSデータの同時収集システムの検証、(3)PETアミロイド薬剤の動態を予測するモデルを完成させ、それをタウ標識薬剤へ適用、(4)機械学習によるNIRSデータ解析、(5)福島県立医科大学及び秋田県立脳血管研究センターでのデータ収集の準備。(1)については、これまで開発してきたPET-NIRS同時収集システムのソフトウェアを改良し、より精度の高い位置合わせアルゴリズムを用いることにより、PET画像とNIRSデータの位置同定精度を向上させた。(2) ファントムを用いて(1)で改良したソフトウェアの検証を行った。その結果、数mm以下の精度でPETとNIRSデータの位置合わせができることが明らかになった。(3)については、アミロイドに特異的に結合するPET候補薬剤の化学形とin vitroの基礎実験から得られたデータより、その候補薬剤の脳内動態を予測するモデルを構築し、その方法により臨床的な有用性を客観的に評価する指標CUI(clinical usefulness index)を求めるソフトウェアを開発し、31候補薬剤に対して適用した。また、22種類のタウタンパクに結合するPET候補薬剤に対して、本ソフトウェアを適用し、その臨床有用性の評価を行った。(4)については畳み込みニューラルネットワークによる学習をNIRSデータに対して行い、機械学習により、NIRSデータが解析できるかを検証した。(5)に関しては、福島県立医科大学と秋田県立脳血管研究センターに赴き、各施設に設置されている装置を用いて実験を行う上での問題点を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、本研究の前段階である基盤B研究「PETとNIRSの融合による新たな認知症診断法の開発」の成果をまとめ、その成果を踏まえて新たな進展を行った年度であり、おおむね順調に進展している。来年度以降に予定されている他の施設でのPETとNIRSの同時測定実験の準備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究成果を踏まえ、[O-15]CO2 ,[O-15]O2および[O-15]CO-PET検査とNIRSの同時測定を秋田県立脳血管研究センターで行う。PET撮像とNIRSデータ収集を同時測定するためには、2つのモダリティの位置合わせが重要となる。このために、光学式トラッキング装置を導入し、PET撮像時の被験者の位置を三次元的に取得し、PET画像上のマーカーとNIRSデータ上のマーカーとのマッチングを行う。このためのキャリブレーションを実行する。キャリブレーションでは、PET装置ガントリーにリファレンスマーカーを設置し、このリファレンスマーカーとPETカメラ視野内においたファントムに設置したマーカーとの相対位置を光学式トラッキング装置で求める。そして、O-15を用いたPET撮像中に、言語負荷課題を行い、脳血流、酸素代謝、ヘモグロビン濃度を PETで定量する。また、 NIRS によるヘモグロビン濃度の変化を観察する。その際に、PET-NIRS 融合システムを用いて、 NIRS データ補正前後で観測データが変化するかを確認する。 一方、Transmissionデータを用いたNIRSデータの補正モデルを構築する。構築したモデルの検証のための実験を行う。ファントム内に、さまざまな厚みの骨等価物質を設置し、 PETおよび NIRS のデータ収集を行う。骨厚みと NIRS 信号との関係を明らかにし、 NIRS 信号の補正が正確に行えるかを検証する。
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