研究課題/領域番号 |
17H04123
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田原 康玄 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00268749)
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研究分担者 |
小原 克彦 愛媛大学, 社会共創学部, 教授 (30260384)
松田 文彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (50212220)
中山 健夫 京都大学, 医学研究科, 教授 (70217933)
伊賀瀬 道也 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (90314955)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フレイル / 潜在性臓器障害 / 老化 / 循環器疾患 / 認知症 / コホート |
研究実績の概要 |
【データ収集と追跡調査】 抗加齢ドックの新規受診者、再診者を対象とした臨床検査を行い、当初の計画通りに臨床情報や生体試料を収集した。サルコペニアとの関連を検討する目的で、保存血を用いてシスタチンやアディポネクチン、レプチンを分析した。対象者へのアンケートから、循環器疾患の発症調査(令和元年度分)を行った。 ながはまコホートでは第3期調査を行い、全15日間の調査で1,311人分のデータを収集した。循環器疾患の発症登録は2018年12月末までの採録分について、外部委員によるイベント確定作業を終えた。確定作業で判断情報が不足した症例についての再調査を継続して行っている。人口動態統計を用いた死因調査、住民基本台帳に基づく死亡や転居は、2019年3月末まで(284例)について把握した。 【データ解析】 ながはまコホートならびに抗加齢ドックのデータを用いた横断解析から、骨格筋の代謝産物である末梢血中のクレアチニンを腎機能の指標であるシスタチンCで補正したクレアチニンーシスタチンC比が、サルコペニアの優れたマーカーになることを明らかにした。クレアチニンーシスタチンC比は、骨格筋量とは独立して骨密度の低下とも関連することも明らかにした。高齢者の排尿障害(特に夜間頻尿)はQOLや予後を悪化させる因子であるが、下肢のサルコペニアが夜間頻尿と関連することを明らかにした。また、夜間頻尿は、男性においては動脈硬化とも関連するこを明らかにし、その背景には動脈硬化に伴う膀胱機能の低下が関連するものと推察された。夜間頻尿は抑うつ傾向の発症とも関連した。夜間頻尿は単なる泌尿器の障害ではなく、高齢者の身体的・精神的フレイルを表す形質としても重要であることを明確にした。これらの成績について英文学術誌に発表するとともに学会で発表した。詳細は研究業績を参照。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コホートでの臨床情報の収集や追跡調査は当初の計画通りに実施した。横断面での関連解析も順調に進み、フレイルの理解深化につながる基礎的知見について、複数の論文を発表し国内学会でその成果を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
【コホート調査】 コホートでのデータ収集(ベースライン調査やフォローアップ調査)、ならびに追跡調査を継続して実施する。研究の進捗に伴って臨床・検体検査の追加が必要となった場合や、新しいバイオマーカーが開発された場 合などは適宜検査項目の追加(削除)を行う。 【データ解析】 横断的な検討から、収集した個々のデータやその相互連関について理解を深めるとともに、その知見に基づいて循環器疾患やフレイルなどに関する長期縦断解析を行い、リスク因子とイベントとの関連について明らかにする。ながはまコホートでは発症登録の追加調査に時間を要したが、2018年度末までの循環器イベントを確定したことで、縦断解析を含めた検討を進める。 【フレイルスコアの開発】 上記の解析で得られた知見を総合し、フレイルを真に評価しうる簡便なスコアを開発するとともに、スコアの妥当性について縦断解析による検証を加える。スコアに組み込む指標を選別するための検討をさらに深める。
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