研究課題
肺癌はがん死亡の1位だが進行例の予後は不良であり、治療面だけでの対策は限界がある。最近は非喫煙者腺癌が増加し、検診がより重要となっている。肺癌死亡減少のために胸部CT検診は有望だが、新しい検診の導入前にはEBMに基づく科学的評価が必須である。確立すべきエビデンスに「適切で効率的なCT検診の間隔」がある。特に、肺癌の罹患や死亡は年齢や性別・喫煙歴などによって大きく異なるので、モデルを設定してリスク分析を行うことで各個人に最適な検診間隔が明らかとなれば、過剰な被曝を避けつつ最大限の効果を得ることが可能となる。それにより、過剰診断や合併症等の不利益を最小化させられるばかりでなく、検診費用を国家規模で減少させることができる。本研究では先行研究のデータを元に、①コホート内症例対照研究、②適切な検診間隔推定、③個別リスクに応じた効率的な検診間隔の設定を行う。その中で最も重要なのは、コホート内症例対照研究である。日立地区では1998年から広く胸部CT検診を実施している。1998-2006年の間の50-69歳の低線量胸部CT検診受診者と同地区における同時期の胸部X線検診受診者を比較する遡りコホート研究を、先行研究として実施した。本研究を実施するに当たって、欠測値の処理方法につき徹底的な検討を行い、全体の97%の対象に関してデータ復元を行ったうえで、数種類のシミュレーション法を用いることにより、解析を安定させることができた。2018年度の実績として、当該「コホート研究の英語論文化」を完遂させ、JJCOに掲載された点は大きな実績の一つである。それをもとに症例対照研究をスタートさせている。観察研究、特に過去のデータを用いた遡り観察研究においては、欠測値の扱いが極めて重要であるが、本研究においてもそれに難渋しており、現在も実施中である。2019年度にはそれらを完遂させ論文化の予定である。
2: おおむね順調に進展している
本研究では先行研究のデータを元に、①コホート内症例対照研究、②適切な検診間隔推定、③個別リスクに応じた効率的な検診間隔の設定を行う。その中で最も重要なのは、コホート内症例対照研究である。日立地区で先行研究として行った遡りコホート研究は、ラフな結果は出ていたが、国際英文誌に掲載されないうちは業績としてのインパクトはない。その観点から、欠測値の処理方法につき徹底的な検討を行い、全体の97%の対象に関してデータ復元を行ったうえで、数種類のシミュレーション法を用いることにより、解析を安定させ、遂に2018年度にJJCOに掲載された。これは本研究の症例対照研究の遂行にも非常に有用であった。さらに、コホート研究の論文化と並行して症例対照研究もスタートさせている。本研究のような遡り観察研究においては、欠測値の扱いが非常に重要であり、現在はその処理・対応を重点的に実施している。
「コホート内症例対照研究」に関しては、症例・対照の選択を本年度前半(9月まで)に実施し、解析を12月までに行う予定である。それと並行して「適切な検診間隔推定」「個別リスクに応じた効率的な検診間隔の設定」も解析を進める。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 15件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 9件、 招待講演 3件)
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