研究実績の概要 |
令和2年度は、東京、名古屋、大阪、福岡で実施された一般健康診断でリクルートした成人合計2500名からの尿サンプルの新規ピレスロイド系(PYR)殺虫剤代謝物5種(2,3,5,6-tetrafluoro-1,4-benzenedimethanol; HOCH2-FB-Al、2,3,5,6-tetrafluorobenzyl alcohol; FB-Alなど)およびその他PYR代謝物4種(transchrysanthemumdicarboxylic acid; trans-CDCA、3PBAなど)の測定を終了した。成人を対象とした結果の解析は現在進行中であり、殺虫剤曝露レベルの季節変化および地域差が明らかとなっている(未発表データ)。小児の尿中代謝物測定結果より、新規PYR代謝物の尿中濃度は経年的に増加傾向にあることを明らかにし、国際科学雑誌International Journal of Hygiene and Environmental Healthに掲載された。PYR系殺虫剤曝露のリスク評価および管理の発展に貴重な情報となる成果である。 一般家庭におけるPYR濃度をアクティブサンプラーおよびパッシブサンプラーで測定する方法を確立した。また、尿中代謝物量から新規PYRの曝露量を推定するための換算式を実験的に求めることに成功した。一般健常人の尿中代謝物量から一日のトランスフルトリン曝露量を推算し、曝露マージンを算出したところ、100を切る対象者が含まれることが明らかとなった。この成果は現在国際雑誌への投稿準備中である。
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