九州・沖縄母子保健研究(出生前コーホート研究)と九州・沖縄小児健康調査(横断研究)のデータを活用して、行動的問題のリスク要因及び予防要因を解明することを目的とする。 令和元年度は、九州・沖縄母子保健研究のデータを活用した3つの英文原著論文を公表した。5歳時におけるStrengths and Difficulties Questionnaire に基づいた情緒問題、行為問題、多動問題、仲間関係問題及び低い向社会的行動の有症率は、各々、12.9%、19.4%、13.1%、8.6%、29.2%であった。妊娠中の総野菜摂取及び緑黄色野菜の摂取は統計学的に有意に5歳児における低い向社会的行動のリスク低下と関連を認めた。緑黄色野菜以外の野菜摂取は多動問題及び低い向社会的行動のリスク低下と有意な関連を認めた。妊娠中の果物、特にりんごの摂取が多いほど、多動問題のリスクが低下した。妊娠中の柑橘類摂取が多いほど、情緒問題、行為問題及び多動問題のリスクが低下した。妊娠中のビタミンC摂取が多いほど、行為問題、多動問題及び低い向社会的行動のリスク低下と有意な関連を認めた。妊娠中のカルシウム摂取が多いほど、感情問題及び多動問題のリスク低下と有意な関連を認めた。BAIAP2 SNP rs8079781のCC遺伝子型に比較し、CT+TT型では有意に感情問題のリスク低下と関連した。 BAIAP2 SNP rs8079781と生後1年間受動喫煙との間に有意な交互作用を認めた。 今後、九州・沖縄小児健康調査の計約3500名の子供のSNAP25 rs3746544及びBAIAP2 rs8079781と3歳時各種行動的問題との関連に関する論文を執筆、投稿する。
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