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2018 年度 実績報告書

環境化学物質曝露の影響を次世代に伝える精子 small RNA の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17H04139
研究機関国立研究開発法人国立環境研究所

研究代表者

野原 恵子  国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, フェロー (50160271)

研究分担者 秦 健一郎  国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期病態研究部, 部長 (60360335)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード次世代影響 / 無機ヒ素 / 精子 / small RNA / 妊娠期曝露
研究実績の概要

1)昨年度の結果を追試するために、再度C3Hマウス (F0) の妊娠8日から18日に通常の水または亜ヒ酸ナトリウム (85 ppm) を含む水を自由摂取させ、仔(対照群またはヒ素群F1)を得た。対照群およびヒ素群F1雄の精巣上体尾部から精子を取り出し、体細胞リシスを行って体細胞の混入のない精子を得、RNAを調製した。精子miRNA組成の変化をマイクロアレイ法およびreal-time PCR法で検討した。その結果、1種類のmiRNAがヒ素群の仔の精子で再現性をもって低下することが確認された。このmiRNAは精子から受精卵に持ち込まれ卵割に必要であることが報告されているが、さらに腫瘍発生への関与について文献検索等で検討を行った。
2)F1精子small RNA-seq用RNAの調製、ライブラリーの作製とsmall RNA-seq:上記で得た対照群およびヒ素群F1精子RNAより、small RNAの5’および3’末端へのアダプター付加、逆転写、増幅によってsmall RNA-seq用ライブラリーを調製した。次世代シークエンスを行い、初年度に構築したデータ解析パイプラインでtRF等のsmall RNAの定量的解析を実施した。
3)受精卵へのmiRNAの導入および遺伝子発現解析の条件検討: 体外受精によって作成したマウス受精卵に核酸をマイクロインジェクションし、一定時間培養するための至適条件を検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

精子miRNAのマイクロアレイ解析の再実験やその後のreal-time PCRによるvalidation, small RNA-seq等、計画した実験をすべて行った。

今後の研究の推進方策

1)F1精子のmiRNA解析: 対照群とヒ素群のF1精子RNAに関して、昨年度マイクロアレイ法でmiRNAの網羅的解析を行い、ヒ素群で存在量が変化するmiRNAを検出した。しかしreal-time PCRで適切な増幅ができず、存在量の検証ができないmiRNAも存在した。そこで昨年度取得したsmall RNA-seqデータで、それらのmiRNAの変化を検討し、妊娠期ヒ素曝露によって変化するmiRNAを明らかにする。さらにターゲットとなる遺伝子発現を複数のアプリケーションを用いて抽出し、影響を及ぼしうる経路を予測する。さらにそれらのmiRNA変化の受精卵における影響を体外受精の実験系や文献・データベース等を利用して検討する。
2)F1精子のその他のsmall RNA解析:昨年度取得したsmall RNA-seqデータにおいて、多数のpiRNAやtRNAフラグメントのシークエンスが得られた。これらの中から妊娠期ヒ素曝露によって影響を受けるものを明らかにし、文献報告等のデータから受精卵における役割を検討する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 妊娠期化学物質曝露の多世代影響2018

    • 著者名/発表者名
      野原恵子
    • 学会等名
      第45回日本毒性学会学術年会
    • 招待講演
  • [学会発表] 妊娠期無機ヒ素曝露の多世代影響とエピジェネティクス2018

    • 著者名/発表者名
      野原恵子
    • 学会等名
      メタルバイオサイエンス研究会2018
  • [学会発表] 妊娠期無機ヒ素曝露による孫世代(F2)の肝腫瘍増加に関与する仔世代(F1)精子のエピゲノム変化2018

    • 著者名/発表者名
      野原恵子、岡村和幸、鈴木武博、中林一彦、秦健一郎
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会

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公開日: 2019-12-27  

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