研究課題/領域番号 |
17H04142
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鳥谷部 真一 新潟大学, 危機管理本部, 教授 (20227648)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リスクマネジメント / 医療安全管理 / 自然言語処理 / グローバルトリガーツール |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、有害事象を電子カルテ経過記録や入院総括から抽出するための目印となるトリガーを、全部で53項目あるトリガーについて、それぞれどのデータベースから検出するか検討を続けた。トリガーにはオーダエントリや検査結果記録など定量的な情報で検出可能なトリガー(Aグループ)と、診療経過記録や入院サマリなど、テキスト情報の中からトリガーに関連する情報を検出しなければならないトリガー(Bグループ)の、大きく2種類に分類できることがわかった。Aグループトリガーについては、ここまでの研究で、どのトリガー情報をどのデーターベースから検出するか、概ね関連付けができている。後者のBグループはAグループに比べて、関連づけや検出が容易ではなく、テキスト情報を自然言語処理し、目的とするトリガーを検出できるようにする作業を行った。しかし、有害事象に関連する情報を検出できても、実際には有害事象が起きていない例が無視できない頻度で検出され、陽性的中率が低かった。たとえば、「院内転倒」イベントを検出しようとすると、実際には転倒イベントが発生していないにもかかわらず、転倒リスクアセスメントを行っただけで検出されてしまう。そのため、さらなる工夫が必要と考えている。トリガーから検出された有害事象に対して、有害事象発生の真値を作成するため、Golden standardとされているChart Reviewを引き続き同時進行で進めている。Chart Reviewで検出された有害事象を真値として、トリガーから検出された有害事象に紐付け、教師データを作成した。全部で53項目あるトリガーについて、順次この操作を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
有害事象に関連する情報をトリガーおよびトリガーに関連した情報から検出できても、実際には有害事象が起きていない例が無視できない頻度で検出され、陽性的中率が低いという結果になった。検出方法のさらなる改良が必要であることが判明した。また、トリガーは全部で53項目あるため、膨大な作業量を要する。さらに、新型コロナウイルス流行拡大のため、首都圏に在住する研究者との交流が困難となった一方、本務(危機管理室)の業務量が増え、作業が滞っている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、トリガーの抽出ルール、とくにBグループのトリガーに関しては、自然言語処理や真値との関連づけの方法を改良し、陽性的中率を向上させるようにする。全部で53ある項目について、順次この作業を行う。
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