研究課題/領域番号 |
17H04148
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山本 敏充 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (50260592)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 反復配列 / Alu配列 / Short tandem repeats / 日本人 / 韓族 / 識別法 |
研究実績の概要 |
本研究計画のうち、STR多型解析について、当初の予定より研究協力体制を拡大した方がより効率的であることが判明した。しかし、その確立中に、STRデータ解析及び全ゲノム塩基配列データベースを扱う専門的知識を有する研究協力予定者が急遽日本国内の機関に異動することが判明し、STRデータ解析に前所属機関への参画ができなくなった。データ及びデータベースは、研究協力予定者の前所属機関に付随し、持ち出し不可のため、新たにその機関の膨大なデータを利用するために、新たに人材を確保し、研究協力体制の見直しをする必要が生じた。 その人材を確保するために、時間を要している最中も、その一方で、もう一つのターゲットとしている分散型の反復配列を検出するための方法である、レトロトランスポゾンディスプレイ法による新規Alu配列の探索法の確立のための研究協力体制を整えた。この研究協力者は、データ解析手法のみの協力者であるので、異動とは関係なく協力を得ることができるため、将来的にも体制が崩れる可能性は低い。この体制を整えながらも、さらに、その方法論のより詳細な検討を行い、今まで行っていた、一検体だけの探索方法から多検体を同時に検出する方法への準備を整えた。しかしながら、そのため、倫理審査委員会への申請に時間を要したので、日本人及び韓国人各200検体分のMiSeq委託解析用のDNA試料を収集ができず、来年度(平成30年度)にその委託解析及び委託以前の準備を行うための費用(195万円)を繰り越す申請を行った。その後、当機関の生命倫理審査委員会への承認を得るための準備を行ったが、その後も計画通り、データベース内のSTR解析の人材を確保することができず、計画の内容を一部再修正(申請時の当初計画に従って行い、効率よく全ゲノム塩基配列からコンピュータによるSTR検出する解析に拡大して行うことを止める。)して申請することにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
STR解析のための研究協力体制づくりに時間を要して、生命倫理審査委員会への申請が遅れているため、一見して非常に遅れているように感じられるが、その一方で、もう一つのターゲットとしている分散型の反復配列を検出するための方法である、レトロトランスポゾンディスプレイ法による新規Alu配列の探索法の確立のための研究協力体制を整えた。また、その体制を整えながらも、さらに、その方法論のより詳細な検討を行い、今まで行っていた、一検体だけの探索方法から多検体を同時に検出する方法への準備を整えた。さらに、約1000人の全ゲノム塩基配列データベースをもつ研究機関とも、現在独自に行われている多型性の高い4塩基リピートのSTRマーカーの選出及びマルチプレックス判定法の開発という点で、協力しており、今後この機関とも連携する手配を整えつつある。 従って、全体的にみて、やや遅れていると考えるのが、妥当であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
全ゲノム塩基配列のデータベースを利用した効率的な研究方法の出現により、研究方法の変更やその研究体制の確立を試みたが、データベース内のSTR解析の人材を確保することができず、そのために申請が遅れていた、生命倫理審査委員会への承認を得る。 日本人のDNA試料については、既に法医・生命倫理学研究室で保有している非連結匿名化試料のうち質の高いDNA試料を100検体選択する。韓国人(韓族)のDNA試料については、研究協力者のソウル国立大学に依頼して、ソウル在住の韓国人(韓族)の血液から抽出されたDNA試料の提供を受ける。 分散型反復配列であるAlu配列に関しては、数例のDNA試料からレトロポゾンディスプレイ法を行い、塩基配列決定による特異的増幅の確認後、各個人特異的配列(インデックス)を付加したプライマーを用いて、日本人及び韓国人のDNA試料各100検体について、レトロポゾンディスプレイ法を行う。次世代シーケンサMiSeqにより塩基配列を決定し、各個人のゲノム上でのAlu配列の挿入部位を決定する。 縦列反復配列のSTRsに関しては、同様に日本人及び韓国人のDNA試料を用いて、一方のプライマーに各個人特異的配列を付加したプライマーを、250座位の座位ごとに用意し、これらを混合後、PCR増幅を行い、次世代シーケンサMiSeqによる塩基配列決定解析を受託会社に委託する。各個人の塩基配列から得られた型判定結果から、集団遺伝学的解析を行い、両集団で異質性の高いSTR座位を選択後、判別可能なカテゴリー分析あるいは判別分析について検討する。 できれば、東北大学のゲノムバンクと共同研究契約を締結後、それらのうち日本人で識別力の高いSTRs座位を選択する。
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