本研究では、「東北メディカル・メガバンク計画」の地域住民コホート8万人のうち、全ゲノム範囲のジェノタイピングを行った25年度の岩手県での登録者5740人から性・年齢層化抽出した約500人を対象に、探索群と検証群の2群に分けて、個人間バリエーションが20%以上を示す2MCpGサイトをターゲットとするキャプチャシークエンス法により、DNAメチル化プロファイルを取得し、正則化回帰モデル(Elastic net)を用いて、「細胞年齢尺度」を開発することを目指した。 2019年度は検証群の144人について、2MCpGサイトをターゲットとするキャプチャシークエンスを行い、全ゲノムワイドのDNAメチル化情報を取得した。これにより探索群384人と合わせて、528人の末梢血単核球の全ゲノム情報と全ゲノムワイドのDNAメチル化情報を確保できた。一方、「細胞年齢尺度」の開発では、当初予定していた正則化回帰モデル(regularized regression model)のElastic Netとbootstrapを用いた手法では、計算できないことが分り、新たな手法を開発中である。 「細胞年齢尺度」は、血液細胞のエピジェネティックな経年変化を表す指標であり、個人の生物学的年齢を示すDNA領域を明らかにするものである。この「細胞年齢尺度」を(年齢)x(メチル化DNA情報)x(ゲノム情報)で捉えることが出来る新たな手法を開発し、より統合的で多角的なデータ解析の実現を目指す。さらに、健康調査アンケート、血液検査結果、生理機能検査結果との相関解析も同時に行う予定である。
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