研究課題
マトリックス受容体インテグリンが、線維化形成において役割を果たすことは、過剰なマトリックス沈着が線維化の本体であること等が支持する。インテグリンα8β1は主に間葉系に発現する、ネフロネクチンなどの受容体である。線維化への関与は長年不明であったが、我々は阻害抗体を作製に成功し、マウスの肝線維化モデルに抗体を投与し、病態が改善することを見いだした(平成26 -28年度 基盤B)。今回その機序としてα8β1は筋線維芽細胞分化促進作用、TGFβ活性化作用を有することを明らかにし、また組織圧に誘導される発現機構、そして詳細な発現分布を明らかにした。これらにより、α8β1は線維化において重要な役割を果たすことを十分に支持するものである。インテグリンファミリーは線維症の有力治療標的であり、実際現在幾つかの阻害剤が臨床試験に入っている。しかし、個々のインテグリンに対する阻害剤の作製は容易ではなく、現在まで24種のインテグリンの中で阻害剤に抗線維化作用が確かめられている一部だけである。我々の作成した抗体は実際に線維化を抑制し、今回その機序が裏付けられた。本抗体あるいはα8β1を評定とする他の阻害剤は有力な抗線維化剤のシーズと考えられる。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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