研究課題
イヌ肝線維化評価モデルを確立し、凍結培養自己骨髄間葉系幹細胞(MSC)肝動脈投与の有効性および安全性を評価した。培養骨髄MSC複数回投与を行うには、細胞を凍結保存する必要がある。そこで骨髄移植や市販の骨髄間葉系細胞製剤で用いられている各種細胞凍結保存液を用いて、凍結保存後の培養骨髄細胞の生存率を比較することにより、最適な細胞凍結保存液を決定した。次に、全身麻酔下にイヌ上腕骨より少量骨髄液を採取し、培養骨髄MSCを選定した凍結液で凍結保存した。また同個体の胃内にはヒト静脈留置用カテーテルを留置し、四塩化炭素を10週間反復投与することで肝線維化評価モデルを作成した。さらに、この凍結培養骨髄MSCを経カテーテル的に肝動注し、エコーガイド下肝生検やICG試験により評価したところ、非凍結培養骨髄細胞と同等の治療効果があることを確認した。さらに、骨髄MSCエクソソームにレドックス制御能があることを確認しているなど、MSCエクソソームには細胞投与と同様の治療効果が期待されている。我々も、肝硬変モデルマウスに抽出した骨髄MSCエクソソームを静脈内投与することで、エクソソーム投与群において血清アルブミンやAST、ALTなどの肝機能や肝障害が改善するだけでなく、肝線維化が改善することを確認している。そこで細胞特性解析として培養骨髄MSCから分泌される細胞外小胞内に含まれるマイクロRNA(miR)を解析した結果、肝硬変改善効果を有するmiRが含まれることを見出した。
2: おおむね順調に進展している
イヌ肝線維化評価モデルを確立し、凍結培養自己骨髄間葉系幹細胞(MSC)肝動脈投与の有効性および安全性を評価し、非凍結培養骨髄細胞と同等の治療効果があることを確認することができた。また肝硬変改善効果を有するmiRを見出すこともできたため。
来年度も引き続き現在の研究体制で研究を推進していく。イヌ肝線維化評価モデルで凍結培養自己骨髄間葉系幹細胞(MSC)肝動脈投与の治療効果を確認することができたため、今後は治療メカニズムの解明に注力して進めていく。
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