研究分担者 |
武藤 倫弘 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 室長 (30392335)
堀本 勝久 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 招聘研究員 (40238803)
岡本 耕一 徳島大学, 病院, 講師 (60531374)
六車 直樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (90325283)
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研究実績の概要 |
昨年度は、大腸腺腫組織、SSA/P組織、正常大腸組織のマイクロアレイ解析データよりCnnectivity Map解析を行い、腺腫とSSA/Pを抑制する候補薬剤をそれぞれ30種類を抽出した。また、オルガノイドを用いた実験により、大腸腺腫に有効な4薬剤(A,B,C,D)とSSA/Pに有効な薬剤3種類(E,F,G)を抽出した。さらに腺腫では、azoxymethane誘導ラット発癌モデル及びAPC欠損マウスを用いて薬剤Aが、それぞれ腺腫数を有意に抑制することを見出した。 これらの実験結果に基づいて、今年度は、薬剤Aの作用機序を確かめるとともに、SSA/Pに対する有効性を移植モデルを用いてin vivoで検証した。 1)azoxymethane誘導ラット発癌モデルに薬剤Aを20週間投与し、薬剤投与ラットと対照群ラットより形成された腺腫を摘出して遺伝子プロファイルを作成し、細胞増殖シグナルのパスウェイ解析を行った。その結果、WntシグナルやMap kinaseシグナルに関与する複数の遺伝子の発現の抑制が確認された。つまり、薬剤投与群では、これらの遺伝子の発現を抑制することにより、腺腫の形成が抑制することが明らかとなった。 2)まず、SSA/Pオルガノイド細胞にGFP遺伝子を導入し、免疫不全マウスに移植して薬剤の効果を評価するモデルを作成した。このモデルマウスに薬剤E, Fを8週間投与してSSA/P病変の蛍光強度を評価したところ、薬剤Eでは8週後の蛍光強度は有意に低下した。つまり、薬剤EのSSA/Pに対する抑制効果が示された。現在、SSA/Pオルガノイドに薬剤Aを添加してマイクロアレイ解析を行い、薬剤Aがどの様なパスウェイ、シグナルを抑制しているのか、その機序を検討中である。 今後、薬剤Aと薬剤Eのヒト腺腫やSSA/Pに対する有効性を臨床試験により検証する予定である。
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