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2017 年度 実績報告書

原発性胆汁性胆管炎模倣培養系からのゲノム・脂質情報を利用した新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17H04164
研究機関九州大学

研究代表者

下田 慎治  九州大学, 大学病院, 准教授 (30279319)

研究分担者 原田 憲一  金沢大学, 医学系, 教授 (30283112)
中村 稔  独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 臨床研究センター, 客員研究員 (40217906)
有田 誠  慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (80292952)
吉住 朋晴  九州大学, 医学研究院, 准教授 (80363373)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードPBC / 網羅的遺伝子解析 / GWA / 疾患模倣培養系
研究実績の概要

臓器特異的自己免疫疾患である原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、進行すると肝移植しか救命方法が無い難病 (特定疾患)であるために、疾患活動性を示すバイオマーカーや新規治療の開発が強く望まれている。これまでに申請者は、肝移植時摘出肝臓・脾臓を用いた生体外PBC模倣培養系を樹立し、細胞外環境の変化により胆管炎が進展する過程を明らかにした。本研究では、 樹立した培養システムにおいて網羅的DNAマイクロアレイ解析で取得した胆管細胞・免疫細胞由来の遺伝子情報と、我々がこれまでに樹立して来たPBCゲノムワイド関連解析(GWAS)の結果を統合し、PBC関連遺伝子を選択し生物学的特徴付けを行う。これにより (A)新たなPBCバイオマーカーの確立、 (B)治療標的遺伝子を同定しその発現制御コンパウンドの網羅的探索までを本研究で遂行し、次世代治療法の開発へと結びつけるが本研究の目的である。
本年度は、まず(1)PBC病変首座となる肝内小型胆管は疎水性胆汁酸や自然免疫リガンドでの刺激に晒され続けるため、これを模倣した培養系を樹立して、刺激で発現が変化する遺伝子データを集めた。しかしこの中にはPBC  GWASで有意な遺伝子は含まれていなかった。そこで次に(2)免疫細胞との関係に焦点を移し、IFNGに着目し、IFNG刺激前後で胆管細胞において変化する遺伝子の網羅的検索データをPBC  GWAS情報と統合して、SOCS1、TRAFD1、EXOC3L4、STAT1の4遺伝子を抽出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

生体外PBC模倣培養系として、無刺激胆管細胞と接触した自己免疫細胞と、自然免疫リガンド刺激後胆管細胞と接触した自己免疫細胞の間で変動する遺伝子情報を網羅的に解析した。その結果、自然免疫リガンド刺激後胆管細胞と接触した自己免疫細胞では有意に発現が亢進する遺伝子が18個、発現が減弱する遺伝子が5個存在した。特筆すべきことはこの発現亢進遺伝子群にIFNGが含まれており、全23個の遺伝子の中でIFNGを含む12個の遺伝子がIFNG関連遺伝子であることが明らかになった。
そこで胆管細胞を(免疫細胞由来の)IFNGで刺激した場合に変動する遺伝子を網羅的に解析し、PBC GWAS情報と統合した。変動した遺伝子の中でPBC GWAS でp<5x10-8のものをPBCの疾患感受性遺伝子とした場合、SOCS1、TRAFD1、EXOC3L4、STAT1の4遺伝子が抽出された。

今後の研究の推進方策

今後は上記4遺伝子の機能解析として、胆管細胞での当該遺伝子発現をsi RNAで制御した場合、IFNG刺激下での胆管細胞の表現系にどのような変化があるかを評価する。機能に密接に関係する遺伝子については、4遺伝子全て「タンパク質をコードする遺伝子であるので、PBCとHCV肝炎を中心にした対照肝疾患の間で、PBCの病変首座である肝内小型胆管でのタンパク質レベルでの発現の差について免疫染色で評価を行う。さらに注目遺伝子の発現制御が可能な小分子化合物の網羅的探索を行い、本研究結果を創薬領域へ持ち込んで行く。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Genome-wide association studies identify PRKCB as a novel genetic susceptibility locus for primary biliary cholangitis in the Japanese population.2017

    • 著者名/発表者名
      Kawashima M, et al, Shimoda S, et al, Nakamura M.
    • 雑誌名

      Hum Mol Genet.

      巻: 26 ページ: 650-659

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hepatic stellate cells secreting WFA+ -M2BP: Its role in biological interactions with Kupffer cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Bekki Y, Yoshizumi T, Shimoda S, Itoh S, Harimoto N, Ikegami T, Kuno A, Narimatsu H, Shirabe K, Maehara Y.
    • 雑誌名

      J Gastroenterol Hepatol.

      巻: 32 ページ: 1387-1393.

    • 査読あり
  • [学会発表] 難治性肝胆道疾患(PBC/PSC/AIH)診療の進歩と今後の課題 原発性胆汁性胆管炎(PBC)の新規治療開発に向けて2017

    • 著者名/発表者名
      下田 慎治, 小野原 伸也, 中村 稔, 原田 憲一
    • 学会等名
      第53回日本肝臓学会総会
  • [学会発表] 自己免疫性肝疾患のパラダイムシフト 原発性胆汁性胆管炎(PBC)模倣培養系とゲノムワイド関連解析(GWAS)を統合して得られる遺伝子情報の機能解析2017

    • 著者名/発表者名
      下田 慎治, 小野原 伸也, 中村 稔
    • 学会等名
      第103回日本消化器病学会総会
  • [学会発表] Immune responses in primary biliary cholangitis2017

    • 著者名/発表者名
      Shinji Shimoda
    • 学会等名
      The 1st JSGE Asian Session
    • 国際学会
  • [学会発表] olecular mechanism of PBC2017

    • 著者名/発表者名
      Shinji Shimoda
    • 学会等名
      The Asian Pacific Association for the Study of the Liver Single Topic Conference 2017 Nagasaki
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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