研究課題
肝硬変に対するエクソソーム医療の創生に向けた分子細胞基盤を確立するため、研究の最終年度となった2020年度はこれまでの研究により明らかとなったエクソソーム搭載OGFRL1の胎仔期肝前駆細胞ならびに成熟肝細胞に対する効果に基づいて、線維肝の再生にいかなる影響を及ぼすかをin vivoの系で検証し、以下の所見を得た。1)マウスに四塩化炭素を反復投与して肝線維症を誘導し、この際の内因性OGFRL1の発現動態を末梢血単核球と線維肝組織を用いた定量PCRにより解析した。その結果、いずれにおいても肝線維化の進展に伴ってOGFRL1 mRNAの発現は低下した。2)マウスのOGFRL1には、全長464アミノ酸からなるlong formと、そのC末端側の264アミノ酸からなるshort formの存在が示唆され、臓器や病態に応じて細胞内でプロセッシングを受け、異なる機能を発揮している可能性が考えられる。そこで、任意の蛋白質を内包したエクソソームを効率よく細胞から分泌させるXPackベクター・システムを用いて、その培養上清からlong form ならびにshort form OGFRLを搭載するエクソソームを精製した。3)四塩化炭素の反復投与により作製したマウスの肝線維症に対して、これらのOGFRL1搭載エクソソームを投与した上で部分肝切除を行い、線維肝の再生に及ぼす効果を比較した。その結果、肝切除7日目における生存率は、対照の空エクソソーム投与群では37.5%、long form OGFRL1搭載エクソソーム投与群では25.0%であったのに対して、short form OGFRL1搭載エクソソーム投与群では88.9%と、short form OGFRL1の投与により有意に改善した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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