研究課題
心不全は全身疾患といわれており、複数の臓器を標的として治療が行われている。その中でも心臓と腎臓が強く関連しながら生理的機能、疾患発症に関与していることが臨床上で常識となっており、生理的機能においては、心腎連関、疾患を発症した後には、それらの症候群を心腎症候群と呼び日常臨床で認識されている。心臓の機能が低下すると、心臓からの心拍出量が低下し、全身の血流が低下するが、その一環として、心臓の機能低下が腎臓の機能低下を引き起こすことはよく理解されている。しかし、それ以外の心臓と腎臓の関連、特に腎臓から心臓へのシグナルについては、ほとんど不明であった。本研究計画ではその点を明らかにして、心腎連関の基本的システム、このシステムは破綻することによる疾患発症機序の解明を目的とした。その結果、心臓は脳を介して腎臓と連携しており、心臓へのストレスに対して、この経路を介して、腎臓にシグナルが伝達され、腎臓からGSF2が分泌され、心臓に保護的な作用を示す新しい経路があることを明らかにした。特に、腎臓が心臓を保護するシステムとして、心臓内の免疫細胞である心臓マクロファージが大切は働きをすることを見出した。実際に心臓マクロファージは、アンフィレグリンを発現し、心筋細胞に作用する。アンフィレグリンは、EGF受容体を介して心筋細胞の肥大を調整していた。心臓の肥大は、心臓への圧力負荷の際に、代償性に生じることが必要であるが、この肥大に必須であることを明らかにした。心臓ストレスの際に、心臓マクロファージが活性化できないマウスや、アンフィレグリンを欠損したマウスは心不全を発症し、死亡することを見出した。このことは、この新しいシステムが心臓の恒常性維持、心不全の発生に重要であることを示している。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Science
巻: 364 ページ: eaav3136
10.1126/science.aav3136