研究課題
独自に開発した「RyR2からのCaMの解離」を遺伝的に抑制したKIマウス(RyR2 V3599K KIマウス)を用いて、「RyR2からのCaM解離」を選択的に抑制することが、心不全・心肥大・致死的不整脈の是正につながるか、を実験的に厳格に検証するとともに、臨床的にもダントロレンを用いて、「RyR2からのCaM解離」の抑制が、心不全・重症不整脈に対して有効であるか?を、多施設共同二重盲検ランダム化比較試験(RCT)により世界で初めて明らかにすることを目的とする。V3599K KIマウスとR2474S KIマウスのダブルヘテロマウスにおいて、RyR2からのCaリークをほぼ完全に抑制し、vivoでの運動誘発、およびカテコラミン誘発不整脈の発生をほぼ完全に抑制した。V3599K KIマウスにTACを行ったところ心機能は著しく改善し、心肥大を明らかに抑制した。さらにWT心筋細胞では、圧負荷時にCaMの核内移行とそれに伴うHDAC5は核外に移行し、逆にNFATc4は核内移行したが、RyR2 V3599K KIではそれらも完全に抑制した。さらにTAC 2週後の時点で心筋組織を摘出し、AmpliSeq RNA解析を用い、主成分分析にて抽出された主要な遺伝子の発現解析を行ったところ、WTマウスで見られた圧負荷後の変化はRyR2 V3599K KIマウスでは抑制されており、特に心肥大関連遺伝子(Acta1, Myh7, Nppa, Nppb)は著明に抑制されていた。これらの知見は圧負荷によりCa2+解離→Ca2+ 漏出を介して肥大のスイッチが入るとの我々の仮説を支持する。ダントロレンの心不全・重症不整脈に対する有効性を証明する多施設共同二重盲検ランダム化比較試験(SHO-IN trial)は現在登録症例が150を超えた。
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