研究課題
非小細胞肺癌患者末梢血を用いたmass cytometry, single cell RNAseq解析を行うことで、抗PD-1抗体治療効果と相関する新規CD4 T細胞クラスターを発見した。従来知られているTh1, Th2, Th17などのヘルパーT細胞分化とは異なるこの細胞クラスターの治療前細胞割合は、抗PD-1抗体であるpembrolizumab, nivolumab治療後無増悪生存期間と直線的相関関係を有していた。胃・食道癌、乳癌、膀胱がん、悪性黒色腫コホートを立ち上げ、前向き観察研究を行うことで、発見した新規CD4 T細胞クラスターの多癌腫におけるバイオマーカー性能検証を開始することができている。先行して結果を得た膀胱がんコホートでは、Nivolumab治療前に新規CD4 T細胞クラスター割合が高い症例は有意に良好な無増悪生存期間を有していることが分かった。肺癌手術症例を用いて、末梢血と肺癌組織浸潤リンパ球を解析した。この結果、末梢血で発見した新規CD4 T細胞クラスターは、肺癌組織浸潤CD4 T細胞を構成する主な細胞クラスターであることが判明した。手術前にこの新規CD4 T細胞クラスター割合が高い症例は、有意に術後再発が少ないことが判明した。私達がTh7Rと名付けたこの新規CD4 T細胞クラスターは、T-betおよびRORCを転写因子として発現しており、遺伝子発現としてTh1とTh17の中間的パターンを有していた。特徴的な遺伝子としてIL-7 receptor, TCF7を発現し、CD3/CD28刺激後にはIFNγ、グランザイムなどを発現した。一方、Th1がグランザイムA, Bを主に発現するのに対して、Th7RはグランザイムKを主に発現していた。Th7Rは抗PD-1抗体治療後に、PD-1発現を低下させるなど、T細胞疲弊からの回復をみせることが判明した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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