研究課題
昨年に引き続きミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク(MOG)抗体陽性神経疾患の臨床・病態・治療の解析を継続した。1) MOG抗体陽性11例の脳生検の神経病理学的解析を行った。その結果、脱髄のパターンはperivenous demyelinationが大部分を占め、多発性硬化症(MS)で見られるconfluent demyelinationはまれであった。またアクアポリン4抗体陽性視神経脊髄炎と比較して、組織への活性化補体の沈着は低頻度だった。MOGの選手句の欠失はたのミエリンタンパクのそれより広範囲で、本疾患においてMOGがより選択的に障害されていることが示唆された。病変に浸潤しているリンパ球はCD4優位であり、MSのCD8優位のリンパ球浸潤と異なっていた。以上から、MOG抗体陽性神経疾患は、MSとは異なる炎症性脱髄疾患であると考えられた。本研究はBrainにacceptされた。2)初発例の追跡調査により2年後までの再発率は約50%であることを見出した。なお大脳皮質脳炎は大部分の症例が初発時に起こっていた。3)小児例では、一部にMSと診断されインターフェロンベーターなどのMS治療薬を投与されている症例があったが、再発予防効果はほとんどの症例ではみられなかった。本疾患では、アクアポリン4抗体陽性視神経脊髄炎と同様にMS治療薬が無効と思われた。4)視神経脊髄炎症例において、アクアポリン4抗体陽性例ではsatralizumab (抗IL6受容体), inebilizumab (抗CD19)が再発予防に有効であることを、それぞれN Engl J Med, Lancetに報告したが、一部のアクアポリン4抗体陰性例(その一部はMOG抗体陽性)では再発予防効果は明らかではなかった。この事実は本疾患がアクアポリン4抗体陽性視神経脊髄炎と異なる治療反応性を呈することを示唆している。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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