研究課題
本研究は脳内のAbetaエコノミー破綻により、Abetaが凝集性を獲得する分子機序、及びその下流でタウが病原性を獲得して神経変性を引き起こす機序の解明を目的とし、以下の2点について研究を行った。1. 脳内Abetaエコノミーに関わる分子基盤の検討。前年度までに同定していたAPP tgマウス脳TBS可溶画分中に存在する、Abeta蓄積を誘発する200-300 kDaのAbeta分子種 (peak 1 Abeta)によるAbeta蓄積誘発能を検討した。peak 1 AbetaをAPP tgマウス脳海馬に注入した2ヶ月後からAbeta蓄積が免疫組織化学的に確認され、生化学的にSDS不溶なAbeta量も上昇し、注入6ヶ月まで経時的に増大した。海馬中のpeak 1 Abeta量に有意な上昇は認められなかったことから、peak 1 Abetaはプリオンのように自己複製して増大するのではなく、脳内の可溶性Abetaを不溶性に転換しつつ蓄積を増大させるものと考えた。ヒトapoE3ノックインマウスにpeak 1 Abetaを含むTBS可溶画分を注入すると、野生型マウスへの注入時に比べ蓄積が乏しかったことから、ヒトapoE3はpeak 1 Abetaの蓄積誘発能を減弱させることが示唆された。AD患者脳由来peak 1 Abetaの蓄積誘発能を検討すると、その程度には症例による顕著な差異が認められた。2. Abetaの下流でタウが病原性を獲得する分子基盤の検討。前年度に続きAAV9を用いた導入実験を行い、PHFのコア部分に相当するタウ反復ドメインタンパク質の脳内発現を可能とした。タウの凝集性獲得を測定するため、split-luciferase complementation assayを利用し、タウ重合が生じると発光を呈するHEK293細胞を構築し、タウseedの添加による発光を達成した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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