ストレプトゾトシン糖尿病の代謝異常に及ぼすmyokineと骨格筋AMPKの作用

2019 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 17H04203
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 代謝学
• 研究機関: 生理学研究所
• 研究代表者: 箕越 靖彦 生理学研究所, 生体機能調節研究領域, 教授 (10200099)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2020-03-31
• キーワード: AMPK / ストレプトゾトシン糖尿病 / 骨格筋 / マイオカイン

研究成果の概要

AMPキナーゼ(AMPK)は、エネルギー枯渇を感知して活性化するキナーゼである。我々は、骨格筋選択的にAMPK活性を抑制するdominant negative-AMPK発現マウス(DN-AMPK Tg)にストレプトゾトシン（STZ）を投与すると、血中インスリン値は低値にも関わらず、STZ糖尿病による高血糖、高脂肪酸血症、高ケトン体血症などの代謝異常が改善し、寿命が延長することを見出した。また、DN-AMPK Tgによる代謝改善効果が、骨格筋から分泌されるIL-6及び myonectinなどマイオカインによって引き起こされることを、リコンビナントタンパク質および中和抗体を用いて明らかにした。

自由記述の分野

代謝・内分泌学

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究では、STZ糖尿病の代謝異常の一部が、インスリン欠乏だけでなく、骨格筋を始めとする臓器間相互ネットワーク異常に起因するとの考えに立ち、骨格筋選択的にAMPK活性を抑制したマウスにおいてSTZ糖尿病の代謝異常が改善するメカニズムを調べた。その結果、骨格筋選択的にAMPK活性を抑制した時の代謝改善効果が、骨格筋から分泌されるマイオカインによることを見出した。本研究結果は、骨格筋から分泌されるマイオカインが1型糖尿病の病態形成にも関与する可能性を示している。