研究課題
本年度は融合タンパク質でありIMiDs依存的なCRBNネオ基質でもあるS1-F1を発現する細胞株を樹立した。白血球細胞株に対して、S1-F1を有するレンチウイルスを発現させ、Blasticidinにより薬剤セレクションをかけてS1-F1発現ポジティブな細胞のみ生存するようにし、樹立を図った。この細胞株はS1-F1を発現する前の株よりも増殖能が高くなるが、IMiDs処理により抑制されることが分かった。また非基質X1を血管内皮細胞において合成siRNAによりノックダウンすると細胞増殖抑制が生じることが昨年度判明したが、S1をノックダウンした場合でも増殖抑制が生じることも分かった。加えてS1ノックダウンの場合について前年度に引き続きトランスクリプトーム解析を行ったところ、HIF1やNOTCH4など血管新生に関係する遺伝子群の低下が見られることも判明した。加えてS1を様々な細胞でレンチウイルスを用いることでノックダウンし、S1が増殖に重要な株を探索した。多発性骨髄腫株においてS1が重要である証拠は得られなかったが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)株において増殖抑制が見られた。IMiDsのDLBCLへの作用が分かっているが、S1がその一端を担っている可能性が新たに示唆された。加えて、前年度のプロテオミクス解析により新たに明らかにした基質候補タンパク質において生化学的な解析を行い、それらがCRBNの新たな基質であることを証明した。その過程でCRBNの神経における役割や局在に対する理解も深まった。本研究により、これまで役割が明確に分かっていたIkaros, Aiolos以外の基質であるS1などの意義が見いだされたが、良く解析されている多発性骨髄腫に必ずしも関わるわけではなく、血管新生やDLBCLなどに関わっていることが分かり、それは想定外の発見であった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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