研究実績の概要 |
(計画1)先行研究で見出したMSと健常人と比較して有意に変化する菌による免疫応答調節:先行研究で見出した健常人と比較してMSで有意に変化する菌の中で、MSの症例数を増加させた検討で有意な差があり、これまでの分離菌と100%遺伝子配列が同一、かつ入手可能な菌株としてEubacterium rec tale, Megamonas funiformisの培養を行ない、腸管ならびに脾臓、リンパ節における制御性T細胞の増加に働くことを明らかにした。(計画2)計画1で作用の確認された菌種の動物モデルにおける検討:上記2種の菌について、MSの動物モデルであるEAEを抑制することを見出した。マウスに繊維豊富な食事を与えることによってさらに抑制効果が高まるか検討したが、抑制増強効果はみられなかった。一方、クプリゾン脱髄モデルを用いて脱髄に与える影響を検討した結果、M.funiformisは脱髄を抑制することを見出した。 (計画3)MS糞便の検討:MSの糞便検体の短鎖脂肪酸を測定したところ、健常者よりも減少していることが明らかとなった。(計画4)自己免疫動物モデルを抑制するMAIT細胞の抗原リガンドの探索: MAIT細胞を特異的に活性化ないしは抑制するリガンド(抗原)を合成することに成功した。全身性エリテマトーデス(SLE)・炎症性腸炎モデルにin vivo投与を行い、病態を抑制することを見出した。SLEについては、MAIT細胞がB細胞に直接作用することにより、自己抗体産生を増強させることを見出した。また、炎症性腸炎モデルにおいては、MAIT細胞の存在しない場合より、リガンド投与の方が病態抑制効果が強かった。その機序として、リガンドはMAIT細胞による腸管バリアの維持には影響を与えず炎症のみを抑制する効果があることが明らかとなった。
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