研究課題
目的1:2001年にヌーナン症候群の原因遺伝子が同定されて以来、続々とその類縁疾患を含めた原因遺伝子が明らかになり、現在ではまだ十分にその意義が検討されていない遺伝子も含め、原因遺伝子の数は、20個以上にわたる。当研究室ではヌーナン症候群の類縁疾患やRASopathies、これらの鑑別疾患の遺伝子45個を含む網羅的解析系を構築し、特に最近同定された新規原因遺伝子A2ML1, SOS2, LZTR1, RASA2などを含む遺伝子の解析を行った。その中で、7人の患者にLZTR1のレアバリアントが、1人にPPP1CBのバリアントが同定された。これらの変異陽性者の臨床症状の検討を行った。LZTR1はLZTR1は12q11.2領域に存在し、BTB-Kelch蛋白をコードしている。その変異は膠芽腫や家族性シュワノマトーシスの原因として報告されているが、その機能はまだ不明である。当研究ではRAS/MAPKシグナル伝達経路の分子とLZTR1の結合するかどうか、あるいはLZTR1の細胞内局在などの検討を継続している。またゼブラフィッシュにおいてLZTR1の機能を低下させたば場合の表現型を検討した。目的2:HRAS変異をもつノックインマウスを作製し、その症状を解析した。高脂肪食投与において、肝臓における代謝の変化がみられることが明らかになった。膀胱の組織を綿密に観察したところ、正常マウスに比べ、膀胱粘膜の増殖・粘膜下層に細胞の集簇・増殖病変が見られた。がん抑制遺伝子ノックアウトマウスとの掛け合わせによる発がんモデル作製を開始した。
2: おおむね順調に進展している
網羅的解析系を構築し順調に遺伝子解析が進んでいる。最近同定された遺伝子についてもその遺伝子変異と臨床症状の解析を行い、生化学的にRAS/MAPKシグナル伝達経路の分子と結合していることを初めて報告した。マウスモデルの解析も順調に進み、その増殖病変の同定や発がんモデルの作製を開始している。
遺伝子解析研究を継続し、新規原因遺伝子解明も目指す。LZTR1については機能解析を継続し、そのシグナル伝達経路における役割や、変異蛋白機能などについて研究を推進する。モデルマウスについては通常の飼育環境では腫瘍病変の発生は頻度が高くないようであるがっ注意深く観察を行い、がん抑制遺伝子ノックアウトマウスとの掛け合わせによる発がんモデル作製を継続して行う。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Hum Genet.
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http://www.medgen.med.tohoku.ac.jp/