研究課題
Cre-loxPを用いたMLL-ENL誘導発現型TGマウスを用いた解析から造血幹・前駆細胞の不死化に関与する遺伝子としてPLZFとその下流のEya2を同定した。Eya2はPLZF-RARAやPML-RARAによる急性前骨髄球性白血病の発症に関与するのみならず、予後不良の急性リンパ性白血病の原因遺伝子E2A-HLFによるがん化にも関与することを明らかにし、難治性白血病を含む白血病の治療標的を新たに提唱することができた。エピゲノム修飾遺伝子Tet1のコンディショナルKOマウスの作製とそれを用いた解析は10年近くに及び、膨大な量の解析を行ってきたが、最終的結論は新たな概念を提唱するような興味深い発見は得られなかった。我々はTet1の造血への影響に焦点を絞って解析してきたが、Tet1が欠落しても造血系に大きな影響を与えないことが明らかになった。これはTet2との大きな違いであるが、従来からの臨床検体を用いた解析結果(骨髄系腫瘍や一部のT細胞性リンパ腫におけるTet2の機能喪失変異に対してTet1の造血系腫瘍における変異はほとんど見られない)と矛盾しない。我々はさらに、上述のMLL-ENL誘導発現型TGマウス、Rosa26-CreER KIマウス、Tet1コンディショナルKOマウスを交配し、タモキシフェン存在下でTet1のKOとMLL-ENL誘導発現を行い、造血幹細胞レベルでの白血病発症におけるTet1の役割を詳細に検討した結果、in vitro、in vivoともにTet1の有無で白血病の表現型に有意差はなかった(in vivo解析は全身性のMLL-ENL発現が心肺系に異常を起こしたため、骨髄移植を用いた骨髄キメラマウスによる長期解析を行った)。以前にMLLキメラ遺伝子を用いた強制発現の実験系でTet1は白血病発症に必須であるという報告があるが、上記結果はこれを支持しない。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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