研究課題/領域番号 |
17H04230
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
細井 創 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20238744)
|
研究分担者 |
柳生 茂希 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10572547)
菊地 顕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (40453104)
家原 知子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20285266)
宮地 充 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40584983)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | エクソソーム / 遺伝子改変T細胞 / 横紋筋肉腫 / 間葉系幹細胞 |
研究実績の概要 |
1.PAX3-FOXO1融合遺伝子発現抑制型shRNA(shPF)内包exosome作成と抗腫瘍効果の検討 ヒト線維芽細胞にレンチウイルスベクターでshPFを遺伝子導入し、shPF安定発現細胞株を作成した。培養上清より、exosomeを回収することで、shPF内包exosomeを作成した。shPF-exosomeをヒト横紋筋肉腫細胞株Rh30に添加することで、Rh30で高発現するPAX3-FOXO1遺伝子発現が抑制されることを証明した。 2.shPF-exosomeを分泌する遺伝子改変型間葉系幹細胞(shPF-MSC)の作成と、抗腫瘍効果の検討 ヒト骨髄由来間葉系幹細胞にshPFを遺伝子導入し、shPF安定発現細胞株を作成した。培養上清より、exosomeを回収し、このexosomeが1と同様にRh30細胞のPAX3-FOXO1遺伝子発現を抑制することを確認し、作成したMSCがshPFを内包するexosomeを安定分泌していることを確認した。Rh30細胞を免疫不全マウスの尾静脈から投与することで、横紋筋肉腫肺転移マウスモデルを作成した。マウス尾静脈より、shPF-MSCを投与し、経時的に腫瘍サイズを観察することで、shPF-MSCの抗腫瘍効果を評価している。(現在進行中)。 3. shPF-exosomeを分泌するCAR-T細胞の作成と抗腫瘍効果の検討 HER2を認識する一本鎖抗体と、共刺激因子、CD3z鎖遺伝子をin-frameに結合し、HER2CAR遺伝子を作成した。さらには、HER2CAR遺伝子の下流に、U6プロモーターとshPF遺伝子を挿入した(HER2-CAR-shPF)。これをピギーバックトランスポゾン法でヒトT細胞に遺伝子導入することで、HER2-CAR-shPF T細胞を作成した。現在、HER2-CAR-shPF T細胞の機能解析と抗腫瘍効果の評価を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目標1については、shPF-exosomeの作成と機能解析は終了しており、ほぼ目的は達成したと考える。 研究目標2については、shPF-MSCの作成と機能解析は終了している。現在、担癌マウスへの投与と抗腫瘍効果の判定、マウス体内でのshPF-MSCの動態解析を行っているが、概ね予定通り(あるいは当初の計画以上に)進展している。 研究目標3については、HERCAR遺伝子、HER2CAR-shPF遺伝子の作成を終了している。さらに、ピギーバックトランスポゾン法によるT細胞への遺伝子導入法も確立した。現在これらのCART細胞の機能解析、exosome分泌能、PAX3-FOXO1遺伝子発現抑制効果の検討、抗腫瘍効果の検討を進めているが、当初の予定通りの進捗状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
研究目標2について、担癌マウスへの投与と抗腫瘍効果の判定、マウス体内でのshPF-MSCの動態解析を引き続き行う。今年度中の終了を目標とする。 研究目標3については、CART細胞の機能解析、exosome分泌能、PAX3-FOXO1遺伝子発現抑制効果の検討、抗腫瘍効果の検討を進める。抗腫瘍の増強効果についてのin vitro、in vivo proof-of conceptが確認できれば、これらの遺伝子と細胞製剤について、特許出願を進める。
|