研究課題
1)Activated Pi3Kδsyndrome(APDS)の実態解明:APDSはPIP3関連分子異常による原発性免疫不全症である。FACSにより患者末梢血B細胞のAKTリン酸化を解析する方法を開発し、簡便かつ迅速なAPDSの診断法を確立した。多数の患者を診断し、その臨床データを解析し、感染症、リンパ節腫脹による閉塞症状が大きな問題であることを示した。液性免疫不全に加え、細胞性免疫不全があることを明らかにした。2)APDSにおける免疫不全およびリンパ節腫脹発症機構の解明:a) FOXO1リン酸化亢進:micro RNAをAPDS患者群で測定した結果、miR27a-3pが有意に高値を示した。そこでmiR27a-3pがターゲットとする分子であるFOXO1に注目し、APDS患者T細胞でFOXO1のリン酸化の亢進があることを見出した。FOXO1は転写因子でリン酸化されると核外移行して転写活性が抑制される。PI3K-AKT活性化シグナルでリン酸化亢進することにより転写因子FOXO1の転写活性低下が起こり、FOXO1が転写する免疫担当細胞の分化、増殖に関わる様々な遺伝子の発現が低下して免疫不全症が発症すると考えられた。b) ERKリン酸化亢進:APDS患者由来EB cell lines でERKのリン酸化が亢進していることを見出した。ERKリン酸化亢進がAPDS患者における大きな問題であるリンパ節腫脹の原因の1つであると考えられた。3)治療法の検討:APDS患者の造血幹細胞移植の成績をまとめた。またデジタルPCRを用いてPI3K変異を解析する事によるAPDS患者の造血幹細胞移植後の生着状況を解析した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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