研究分担者 |
澤 新一郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80611756)
大島 一夫 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (20764880)
田井中 貴久 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (30378195)
内田 広夫 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40275699)
住田 亙 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (70437044)
城田 千代栄 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20378194)
檜 顕成 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (90383257)
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研究実績の概要 |
ヒトの新生児および小児消化器疾患の病態形成と、3型自然リンパ球(ILC3)等の腸管リンパ球が関与している可能性に着目し、ヒト小児腸管における免疫細胞の分布や機能を評価した。 手術時に切除されたヒト腸管合計71検体に対して、リンパ球を抽出してフローサイトメトリーを行い、腸管リンパ球の分布を調査した。いずれにもILC3を認めたが、その割合は在胎週数、病態で一定しなかった。また、6例について、一細胞ごとにラベリングを行った上で網羅的解析を行った。在胎週数の近い4例の新生児小腸検体を壊死性腸炎(NEC) 2例と非壊死性穿孔2例(限局性腸穿孔、胎便栓症候群各1例)に分け、8,295 - 13,882細胞のsingle-cell RNA sequence結果を比較した。主成分分析により、遺伝子発現パターンから25個の細胞群に分け、また2群間で細胞群ごとに発現している遺伝子を比較して有意差を評価した。血球系細胞におけるT細胞の比率は、壊死群で43.0%、非壊死群で23.1%であり、壊死群では獲得免疫のT細胞が優位で、非壊死群では自然免疫の単球系細胞が優位であった。また、壊死群では、NECに関する既知遺伝子であるVEGFA、TNF、CD14、IL1B、IL1RN、IL6、IFNG、DPF3、CAMK4、NFKB1、TGFB1、SIGIRR、CCL2、CCL4、CCL5、MYC、PIPK2、CXCL1、CXCL3、CXCL8、CXCL12が有意に高発現していた。 各細胞群における遺伝子発現を、Gene set enrichment analysisでパスウェイの発現評価を行った。壊死群ではMYC targets、mTORC1 signaling、TNFA signalingなど炎症に関する経路が有意に高発現していたが、どの遺伝子発現が主として腸管壊死に関して関与しているのかの特定には至らなかった。
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