研究課題
本年度はまず、早産脳傷害モデルにhAFSを投与し治療効果を検討する計画であった。我々は、新生児マウスを生後 3-11 日目(P3-P11)の期間、約 10%の 低酸素環境下で飼育する早産児脳傷害モデルを確立し(Neonatal chronic hypoxia model: CH model)研究に用いる計画であったが、研究環境の変化により動物モデルの表現型が安定せず、別な早産脳傷害モデル作成を余儀なくされた。このため、早産脳傷害モデル動物作成を行わざるをえなかった。早産脳傷害は、子宮内炎症に起因する新生児期の炎症がその根本的な原因であるため、動物モデルではリポ多糖(Lipopolysaccharide; LPS)、ウイルス、細菌などの感染源を動物に投与するモデルが報告されているが(Dean et al. Dev Neurosci. 2015)、我々はLPS投与モデルの作成を行った。具体的には、(1)LPSを生後3-4日目のラットに投与するモデル、(2)生後3-4日目のラットにLPSに投与し、その後、片側頸動脈結紮と低酸素負荷を行う、といった2つの早産脳傷害動物モデル作成を行いモデル確立にいたった。hAFSは筋、皮膚、神経、粘膜上皮、肺 胞上皮、神経、肝などに多数の細胞種に直接分化する報告 (Perin et al.,Methods Cell Biol.2008, Carraro et al.,Stem Cells.2008)があるため、これまでに我々が分化能を確認した心筋細胞や神経細胞に加えて血管内皮細胞への分化能を検討した。その結果、本年度はAngiogenesis Assay Kitを用いた検討により、血管新生が生じることがわかった。さらに、hAFSのin vivo投与前の事前調整法として、in vitroの環境で低酸素培養とスフェロイド培養がhAFSでも再現可能か否かについて検討した。その結果、hAFSは低酸素培養やスフェロイドを行うことにより、少なくともin vitroの環境では通常酸素濃度の単層培養と比較し、ESマーカーや抗炎症性サイトカイン等の発現が変化することを見出した。
3: やや遅れている
新生児マウスを生後 3-11 日目(P3-P11)の期間、約 10%の 低酸素環境下で飼育する早産児脳傷害モデルを確立し(Neonatal chronic hypoxia model: CH model)研究に用いる計画であったが、研究環境の変化により動物モデルの表現型が安定せず、別な早産脳傷害モデル作成を余儀なくされたため実験計画が遅延した。この問題は、LPS投与早産脳傷害モデル作成により解決されたが、他臓器の早産合併症である肺障害や壊死性腸炎の動物モデル作成の着手を送らせざるを得なくなった。
本年度は、まず成熟児の低酸素虚血性脳障害を用いたhAFS治療効果検討のノウハウをいかして、まず、早産脳傷害に対する治療効果を検討する。さらに、本年度の検討にて実現可能であった、in vitroの環境での投与前細胞調整法(低酸素培養、スフェロイド培養)により、治療効果が増強するか否かについて検討する。さらに、他臓器の早産合併症である肺障害や壊死性腸炎の動物モデル作成を行いたいと考える。
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