研究課題/領域番号 |
17H04238
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
氏家 英之 北海道大学, 大学病院, 講師 (60374435)
|
研究分担者 |
岩田 浩明 北海道大学, 大学病院, 助教 (20397334)
西江 渉 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (20443955)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | T細胞株 / 水疱性類天疱瘡 / アクティブマウスモデル |
研究実績の概要 |
C57BL/6マウスにマウスCOL17を免疫しても、低力価の抗マウスCOL17抗体しか得られないことが多い。そこで、本研究では、ヒトCOL17反応性T細胞株を樹立を試みている。ヒトCOL17NC16A領域の病原性エピトープをカバーする合成ペプチド(R7)と強力なアジュバント(TiterMax)を混合し、2週間おきに2回、C57BL/6マウスのfoot pad(50ug)およびtail base(50ug)に免疫したところ、全てのマウスに抗ヒトCOL17NC16A抗体が得られた(n=10)。その脾細胞を免疫不全COL17ヒト化マウスに移入すると、全てのマウスに抗ヒトCOL17抗体が産生され(n=6)、うち4匹で脾細胞移入後6週に皮疹が出現した。以上より、R7ペプチドにより誘導された抗ヒトCOL17NC16A抗体には病原性があることが明らかとなった。 次に、R7ペプチドを用いてC57BL/6マウスのFoot padsに免疫し(50ug)、1週間後に膝窩リンパ節と脾細胞を採取した。それらの細胞を、R7ペプチドで刺激したfeeder細胞と低用量のIL-2を加えて培養したところ、細胞のクラスターが出現した。R7ペプチドで刺激しないfeederを用いた場合は、クラスターは出現しなかった。Day21にR7ペプチドで刺激してサイミジン取り込みが確認できたウェルの細胞を限界希釈した。更にR7ペプチドで刺激すると、Day42頃から細胞クラスターが出現した。しかし、クラスターは一定の大きさになるとそれ以上増殖しなかった。PHA刺激により更に増殖したが、実験に用いることができるほどの量には増えなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度の目標であったヒトCOL17反応性CD4+T細胞株の樹立には至らなかったので、計画よりはやや遅れていることになるが、細胞クラスターを得るところまでは到達しており、現在の方法を改良することでより良い成果が得られると考えている。具体的には、当初使用予定であったT-STIM(T細胞を培養する際に投与するサプリメント)が年度途中で販売停止になったため、低用量IL-2で代用していたのが、クラスター増殖不良の原因だった可能性がある。T-STIMが販売再開となったため、購入して実験を再度行う。
|
今後の研究の推進方策 |
現在の方法を用いて、培養液にT-STIMを投与して細胞株の樹立を試みる。もしそれでうまくいかない場合は、マウスの免疫方法の変更を検討する。例えば、2回免疫でブーストをかけたり、他のリコンビナントタンパクを用いたり、植皮による免疫を試みたりする。 良好なクラスターが得られた場合は、それがモノクローナルであるかどうか確認するために、T細胞受容体のタイプをPCR法で確認する。モノクローナリティが確認できれば(つまりT細胞株が樹立できれば)、そのT細胞株の表面マーカー(CD3, CD4, CD8)をフローサイトメトリー法で確認する。また、サイトカイン産生プロファイルをELISA法やRT-PCR法で解析する。樹立したCD4+T細胞株のin vivoでの病原性を評価するために、T細胞株をヒトCOL17タンパクで免疫したマウスのB細胞とともにRagノックアウト/COL17ヒト化マウスに移入する。レシピエントマウスにおける抗体産生や、皮膚の臨床的および病理学的変化、脱毛や白毛化の有無、血中抗ヒトCOL17抗体価や抗体サブクラスを評価し、CD4+T細胞株による病原性の差について検討する。
|