研究実績の概要 |
本研究では、ヒトCOL17反応性T細胞株の樹立を試みている。ヒトCOL17NC16A領域の病原性エピトープをカバーするNC16A全長タンパクを用いてC57BL/6マウスのFoot padsに免疫し、膝窩リンパ節と脾細胞を採取して培養しNC16Aの断片であるR7ペプチドでDay10, 21, 28, 42に刺激を加えながら培養したところ、発育良好な細胞株が得られた。細胞株はR7反応性を示すCD4+T細胞であり、かつCD44highCD62Llowのeffector phenotypeを呈していた。60-70%の細胞がIFN-gを産生していたが、IL-4やIL-17Aを産生する細胞はみられなかった。最も増殖の良好な細胞株のT細胞受容体をPCR法で検索したところ、Vbeta2,11,20が増幅されオリゴクローナルであると考えられた。このT細胞株を精製し野生型のB細胞と共にRag-2KO/COL17ヒト化マウスに野生型マウスに共移入したが、T細胞の生着はみられず、ヒトCOL17に対する自己抗体も産生されなかった。このT細胞株のVbeta2のPCR増副産物をGel extractionで回収しDNA配列を読んだところ、Vbeta2の遺伝子配列が含まれていることが確認された。その後、徐々にこのT細胞株の発育は低下したが、抗Vbeta2抗体でソーティングして不要な細胞を除いたところ再び良好な発育を示した。 次に、更にT細胞株への刺激効率を上昇させるために、R7ペプチドでの刺激回数を1回増やしDay10, 21, 28, 35, 42に刺激したところ、発育良好なクローンを新たに5つ得ることができた。このうち1つの細胞株のT細胞受容体をPCR法で検索したところVbeta2,13,20が増幅され、以前とは異なるVbeta鎖が増幅された。
|