今後の研究の推進方策 |
SBSNノックアウトマウス上部消化管からの金属吸収異常による口腔免疫寛容の破綻について、中心的に検討を加える。ニッケルを経口投与すると制御性T細胞 (Treg) が誘導されて免疫寛容状態となり、ニッケルに対する接触過敏症が減弱することが知られている(Wu X, et al: Int Immunol 19: 965, 2007; Roelofs-Haarhuis K, et al: J Immunol 15; 173: 2004)。この経口免疫寛容は金属の量に依存して誘導されるという。SBSNノックアウトマウスでは上部消化管のスプラバシン欠如により、金属の吸収に異常が生じていると考えられ、実際に血中のニッケル濃度も高い。そこでSBSNノックアウトマウスにおいて、ニッケルの経口投与による免疫寛容が正常に誘導されるか、あるいは破綻しているかを調べる。塩化ニッケルを含む飲水をSBSNノックアウトマウスと野生型マウスに4週間与え、1週間後に前述の方法にて接触過敏症を誘導し、通常の飲水を与えたマウスと反応性を比較する。また、SBSNノックアウトマウスにおいてTregが誘導されるか否かを調べるために、塩化ニッケルを含む飲水を与えたSBSNノックアウトマウスおよび野生型マウスの脾臓からT細胞を分離し、野生型マウスに移入する。レシピエントマウスに接触過敏症を誘導し、反応性の低下によりTregの存在を評価する。
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