研究課題/領域番号 |
17H04242
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
森田 明理 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30264732)
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研究分担者 |
山崎 小百合 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (70567255)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 紫外線 / 免疫制御 / 制御性T細胞 / 光線治療 / LED |
研究実績の概要 |
iTreg(誘導性制御性T細胞)を誘導する波長解析 遅延型過敏反応(DTH)のマウスモデルを用いた実験では、290~320nm中で、310nmに遅延型過敏反応の抑制とTregの誘導が見られた。リンパ節細胞でIL-10を誘導、IL-17の抑制、IL-23の抑制などが明らかとなり、Tregの誘導のみならず、TH17細胞の誘導を抑えていることが明らかとなった。 nTreg(内在性制御性T細胞)の誘導波長解析 抗原の投与していないマウス皮膚にリンパ節・脾臓でCD4+CD25+Foxp3+Neuropilin-1+細胞(nTreg)が、290~300nmで誘導が見られた。ブロードバンドUVBの照射で、7日後で明らかに皮膚とリンパ節でTregが増加、Neuropilin1陽性のnTregであり、Treg関連の遺伝子におけるメチル化を調べたところ、脱メチル化がみられ、安定した抑制機能のあるTregが誘導されることを明らかとなった。 臨床レベルでのTreg誘導解析 乾癬では、Treg数の減少はなく機能不全であることが報告されている。健常人Treg存在下ではCD4+CD25-Tcellsの分裂増殖がほぼ完全に抑制された(94.4%)のに対して、乾癬患者Tregでは完全に抑制できず(70.3%)、抑制能の有意な低下を認めた。乾癬患者のTregの抑制能の低下は、PUVAバス療法後においてほぼ正常へ回復したことから、PUVAバスによるTregの機能回復が示した。照射開始 (PUVAバス)から5回ごとに、3つの分画を調べたところ、aTreg (CD4+CD25+Foxp3highCD45RA-)が、明らかに上昇することが明らかとなった。比較的早期にaTregが上昇し、rTregも同様に誘導され、非抑制性 Tregの減少もみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた制御性 T 細胞 (Treg)による免疫寛容誘導する波長探索 、臨床レベルでの Treg 誘導解析ナローバンドUVB・308nm エキシマライト・PUVA バス照 射患者における Treg 誘導解析) などの解析は進めることができ、同時に、皮疹部分から浸潤している細胞を高速セルソーターで分離する方法をセットアップをおこなうことができた。
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今後の研究の推進方策 |
光線療法後の皮膚に浸潤する細胞群をセルソーターで分離し、RNAシークエンス、Treg関連遺伝子のエピジェネティック解析(次世代シークエンサー)で行う予定である。乾癬以外の白斑、アトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症患者においても、同様に解析を行い、Tregの誘導に関して解析を行う。マウスレベルからもっとも効率よくTreg・免疫寛容を誘導する波長が明らかとなった場合、その波長やあらたに開発した深紫外光LED照射機器を用い、臨床レベルで、Treg数、Dysfunctional Tregの機能回復、aTreg、RNAシークエンス、Treg関連遺伝子のエピジェネティック解析を行う予定である。マウス・ヒトレベルでの紫外線(~可視光線)の選択的波長の利用することによるTreg誘導(しかも、nTregとiTregを波長ごとに誘導する可能性)が明らかとなる。表面マーカーの解析(FACS)、RNAシークエンス、Treg関連遺伝子のエピジェネティック解析から、誘導されるTregの詳細なタンパク・遺伝子発現・エピジェネティックプロファイルが明らかとなり、より詳細な波長ごとの特性を明らかにすることができる。これらの結果から、さらに、どのような光生物学的メカニズムによって、波長ごとの特性がえられるか、検討を進める予定である。 さらに、予定通り、制御性T細胞を誘導する樹状細胞を誘導する波長特性解析、免疫を制御するUVA1(340-400nm)の有効波長の探索もあわせて進める予定である。
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