研究課題
自閉症スペクトラム障害は、3歳までに診断が付く発達障害である。統合失調症は、思春期、青年期に発症する代表的な発達障害であるが、発症前に認知機能障害などの前駆症状が観察される。しかしながらこれらの発達障害の予防に関する知見は殆どない。これまで妊娠期あるいは小児期・思春期の栄養が、成人期の精神病の発症に影響を与えるという仮説を、統合失調症の母体感染モデル(妊娠マウPoly(I:C)を投与)を用いて明らかにする。生体内で酸化的ストレスや炎症に対する防御機構として重要な役割を担っている転写因子Keap1-Nrf2系に着目し、Nrf2に作用する植物性機能物質sulforaphane (SFN)の前駆体glucoraphaninを使用した。統合失調症の母体免疫活性化モデル動物を用いて、小児期・思春期におけるglucoraphaninを含む餌の摂取が、生まれた仔マウスの成人期の精神疾患の発症を予防することを論文発表した。今年度、同じ母体免疫活性化モデルを用いて、妊娠期から離乳時期(生後3週齢)までglucoraphaninを含む餌を摂取すると、思春期および成人期の自閉症および統合失調症の発症を予防できることを見出し、論文発表を行った。さらに、Nrf2遺伝子欠損マウスのうつ様行動に対して、新規抗うつ薬アールケタミンが抗うつ効果を示すことを論文発表した。またNrf2によるBDNFの活性化が、抗うつ効果に関係していることを論文発表した。また妊娠マウスにNrf2活性化剤sulforaphaneの前駆体glucoraphaninを含む餌の摂取すると、生まれた仔マウスの腸内細菌叢に長期間に良い影響を与える所見を得、現在解析中である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 備考 (1件)
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