研究課題/領域番号 |
17H04253
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
松岡 豊 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 部長 (30370985)
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研究分担者 |
澤田 典絵 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 室長 (00446551)
濱崎 景 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (50533494)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ω3系脂肪酸 / 脂質 / うつ病 / 栄養疫学 / がん / 急性冠症候群 / 食事バランス / がん再発不安 |
研究実績の概要 |
【急性心筋梗塞患者コホートにおけるうつ病診断と脂肪酸組成の関連】 解析対象者は101名、平均年齢63.2±11.2歳、男性86名(86%)であった。精神障害の基準を満たした者は8名(8%)、内訳は重複発症を含め、うつ病4名(小うつ病1名を含む)、心的外傷後ストレス障害2名等であった。ロジスティック回帰分析の結果、PCI直後の血清リノール酸が高値であること(オッズ比=7.10、95%信頼区間=1.05-48.13)が、6か月時点の精神疾患発症に寄与していた。他の主要なPUFAは有意な関連を認めなかった。本研究により胸痛発作直後の血清リノール酸は6か月経過してもACS後の精神疾患発症に影響することが示唆された。ACSハイリスク者に対して、精神疾患予防のためにはACS発症前からの食生活指導が重要である。 【地域住民コホートにおけるうつ病診断と脂肪酸組成の関連】 地域住民コホート研究で採取した血液サンプル(1,300検体)の脂肪酸測定に着手した。また、1995年時のアンケート調査を用いて、主食(ごはん、パン、麺)、副菜(野菜、きのこ、いも、海藻料理)、主菜(肉、魚、卵、大豆料理)、牛乳・乳製品、果物、総エネルギー、菓子・嗜好飲料由来のエネルギー、白肉(魚・鳥肉)の赤肉(豚・牛肉)に対する比の各領域を10点満点として評価し、80点満点の食事バランスガイド遵守得点を算出した。対象者を得点によって4グループに分け、アンケート調査から20年後のうつ病診断との関連を調べた。その結果、食事バランスガイドの遵守得点とうつ病のリスクの間に有意な関連を認めなかった。また、8領域(主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物、総エネルギー、菓子・嗜好飲料、白肉の赤肉に対する比)それぞれで検討したところ、白肉の赤肉に対する比において、最も比が高い人でうつ病のリスクの低下が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
急性心筋梗塞患者コホートと地域住民コホートの成果を学会発表し、論文を国際誌に投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
急性心筋梗塞患者コホートの解析は終了、論文公表を残すのみ。地域住民コホートの血清中脂肪酸測定が終了したら速やかに解析を行い、論文を投稿する。
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