研究課題
小児がん長期生存者の50%に放射線認知障害が生じる.放射線認知障害のリスク診断および認知障害を回避した放射線治療法の開発および発症予防,認知障害の遺伝子治療の開発には,その発症機構の解明が急遽である.一方,長期生存者から病理組織採取は難しい.現在,Advanced MRIを用いることで脳微細構造変化に相当するパラメータや行動の際の脳活動が非侵襲的に評価できるようになってきている.本件研究では,小児がん長期生存者を対象に,Advanced MRIを用いて放射線認知障害の発症機構を解明し,照射後認知障害マウスから得られた病理組織で検証する.実験は臨床試験(A)とマウスを用いた前臨床試験(B)である.実験A: 小児がん長期生存者において,T2スターを含むAdvanced MRを用いて微細構造変化および脳活動変化を定量化した.T2スターに加え,MRIはNeurite orientation dispersion and density imaging (NODDI)を撮像した.NODDIからは軸索の方向散乱の程度(散らばり)や軸索密度(詰まり具合),脳脊髄液の拡散の程度を定量化できることが特徴である.また,同被験者に対して認知機能検査である成人機能検査(WAIS-III)および機能検査(WMS-R)を実施し,検査結果を数値化と解析を行った.同時に,同被験者に対して質問紙を用いてQOL評価を実施した.上記認知機能検査とQOL評価に併せて,患者の基本情報を含むデータ整理を行った.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。