研究実績の概要 |
今年度は、昨年度までにαシヌクレイン(α-syn)への選択的結合性を見出したベンゾイミダゾール(BI)誘導体であるBI-2の構造を基盤として,PET核種である18Fの導入を想定した新規化合物(BI-4, BI-5, BI-6)の合成およびin vitroにおけるα-synおよびAβ凝集体に対する結合性に関する評価を行った.なお,in vitroにおいて,α-synおよびAβ凝集体の存在下でBI誘導体の蛍光強度が上昇したことから,この蛍光上昇作用を利用してα-synおよびAβ凝集体に対するin vitro結合飽和実験を行った.その結果,BI-4およびBI-6はα-syn凝集体に対する選択的結合性を示した.また,別の母核を有するPQ誘導体を用いて,新たなSPECT用α-synイメージングプローブの開発を行った.PQ誘導体はBI誘導体と同様,α-synおよびAβ凝集体の存在下で蛍光強度は上昇したことから,蛍光上昇作用を利用した結合飽和実験によってα-synおよびAβ凝集体に対する親和性を評価した.その結果,ジメチルアミノ基を導入したPQ-1はα-syn凝集体に対する選択的結合性を示した.さらに,[125I]PQ-1を合成し,正常マウスを用いた体内放射能分布を行ったところ,[125I]PQ-1は投与早期の脳移行性とその後のクリアランスを示した.今後さらにPQ誘導体の構造活性動態相関を行うことにより,より高性能なα-synイメージングプローブの開発を目指す.
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