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2018 年度 実績報告書

立位の単純CT画像を用いた人体の解剖学的構造の定量化~臥位撮影との比較~

研究課題

研究課題/領域番号 17H04266
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

陣崎 雅弘  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (80216259)

研究分担者 荻原 直道  慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70324605)
名倉 武雄  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90306746)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード立位 / 重力 / 体位 / CT / 静脈 / 脊椎管狭窄症 / 骨盤脱 / 鼠経ヘルニア
研究実績の概要

ボランティアの症例数は、190例に達した。データ解析を更に進めた結果、静脈系は、重力の影響の受け方が位置により異なることがわかった。上大静脈の径は立位では臥位に比べて小さくなるのに対し、横隔膜の高さでは両者の有意差はなく、下大静脈の径は立位のほうが大きくなった。静水圧が上半身では小さく、下半身では大きいことを反映していると思われた。一方、動脈は重力の影響で径が変化することはなかった。これまで動脈は臥位CTで十分評価されてきたが、静脈は、十分評価できてはいない。それは、体位により静脈径が変化することは指摘されていたが、全身の静脈を体位を変えて可視化する方法がなかったからである。今回の結果は、容量血管である静脈の特色を捉えており、今後静脈の機能を明らかにしていくことができると思われた。心不全患者の評価にも使える可能性がある。
この他に、重力下におけるボランティアの容貌変化の3次元的解析も行い、顔の皮膚のたるむ部分と加齢でもあまり位置の変わらない部分を明らかにできた。
また、姿勢や歩行機能において肩甲帯や後足部(距腿関節および距骨下関節)のアライメントは重要な役割を果たしている。両肩甲帯を臥位と立位CTで撮影し、鎖骨および肩甲骨の回旋角度を比較したところ、立位では、鎖骨の上方傾斜が有意に減少し、後傾が有意に増加し、肩甲骨は上方回旋、内旋、前傾がいずれも有意に減少することがわかった。また、後足部を圧力シートの上で、非荷重位、50%荷重位、100%荷重位の3パターンで撮影を行ない、両関節の動きを観察した。距腿関節では、距骨は脛骨に対して荷重に従って底屈、内転、内旋した。距骨下関節では踵骨は距骨に対して荷重に従って背屈、外転、外旋し、それぞれ三次元的に反対方向への動態を示した。今後、姿勢や歩行機能の解明に重要な手がかりを提供するとともに、肩周囲や後足部の機能的病態解明につながると思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

ボランティア studyの登録も順調に進み、静脈系の診断において有用であることが新たに明らかにできた。今後、立位CTを通して静脈学を構築していくことに大いに期待できる。更には、加齢研究として、重力下におけるボランティアの容貌変化を検討できた。
また、歩行機能や姿勢を決定する要因の解明や、関節の病態解明に向けて基礎になる正常例の検討も開始できた。

今後の研究の推進方策

本年は、肺静脈、脳の静脈、下肢静脈などで径の変化を調べ、全身の静脈系の重力に伴う径の変化を系統的に調べ、静脈学の構築を目指したい。また、骨盤底の下垂が性別だけではなく、年齢により差があるかどうかを調べたい。
肩甲骨、足関節に加え、脊椎、骨盤、大腿骨の位置関係から歩行や姿勢に影響する因子についても更に、解析を進める。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Visualization of the Effects of Gravity on the Human Anatomy and Pathologic Conditions Using Upright CT with Area Detectors2018

    • 著者名/発表者名
      Jinzaki M, Yamada Y, Yamada M, Nagura T, Ogiwara N, Narita K, Yokoyama Y, Nakahara T.
    • 学会等名
      104th Radiological Society of North America, Scientific Assembly and Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 320 列検出器を用いた立位型CT の開発─重力下の人体の可視化を目指して─2018

    • 著者名/発表者名
      陣崎雅弘
    • 学会等名
      第77回日本医学放射線学会総会
  • [学会発表] 立位CTの開発と加齢研究への応用2018

    • 著者名/発表者名
      陣崎雅弘
    • 学会等名
      加齢画像研究会 第7回学術集会
  • [学会発表] 頭蓋内構造の体位による偏位:―320 列縦型CT を用いた健常者での評価―2018

    • 著者名/発表者名
      横山陽一、藤原広和、山田祥岳、山田稔、成田啓一、鈴木達也、許斐佑介、陣崎雅弘
    • 学会等名
      第77回日本医学放射線学会総会
  • [学会発表] 320 列縦型CT と通常型CT を用いた,臥位・座位・立位での肺容積の比較:呼吸機能検査との関連2018

    • 著者名/発表者名
      山田祥岳、中鉢正太郎、山田稔、横山陽一、田辺晃子、松岡志保、塚田涼、阿部貴行、別役智子、陣崎雅弘
    • 学会等名
      第77回日本医学放射線学会総会
  • [学会発表] 骨盤底の体位による偏位―320 列縦型CT を用いた健常者での評価―2018

    • 著者名/発表者名
      成田啓一、山田祥岳、山田稔、横山陽一、鈴木達也、許斐佑介、奥田逸子、陣崎雅弘
    • 学会等名
      第77回日本医学放射線学会総会
  • [学会発表] 画像診断の変遷と進歩 ~CTを中心に~2018

    • 著者名/発表者名
      陣崎雅弘
    • 学会等名
      兵庫画像診断研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 臥位および立位CTを用いた肩甲帯の解剖学的位置関係の三次元解析2018

    • 著者名/発表者名
      松村昇,大木聡,松本守雄,中村雅也,山田祥岳,山田稔,陣崎雅弘,名倉武雄
    • 学会等名
      日本肩関節学会
  • [学会発表] 立位CTを用いた荷重による後足部アライメントの動態評価2018

    • 著者名/発表者名
      金田和也,原藤健吾,大木聡,太田友彦,山田祥岳,陣崎雅弘,松本守雄,中村雅也,名倉武雄
    • 学会等名
      日本臨床バイオメカニクス学会

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公開日: 2021-01-27  

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