研究課題
これまで、静脈が体位により変化することは知られていたが、全身の静脈を系統的に調べた報告はなかった。昨年度、心臓より上の上大静脈は立位では臥位に比べて80%縮小し、心臓の高さ(横隔膜)では両者で変化なく、下大静脈では立位は臥位に比べて37%拡大し、静脈径の変化の仕方は静水圧の影響で心臓を境に、異なることを示した。本年は脳の静脈の体位による変化を調べたところ、脳内の静脈径は体位により変化がなく、脳内の静脈容量は他部位と異なり恒常性が保たれていることが明らかになった。また、頭蓋底頸椎移行部から頸部にかけては、腹側の内頚静脈系は立位で径が縮小し、代わりに背側の椎骨静脈系の系が拡張していることがわかった。また、下肢静脈は、立位で径が太くなり、その結果、静脈弁が膨らみとして検出できること、本幹に合流する分枝の数が多くみえることがわかった。これらは、心臓外科のバイパス手術において下肢静脈を用いる際に、血栓化を防ぐ観点から静脈弁や分枝ができるだけ無いほうが良いとされているが、立位ではこれらの構造がより明瞭になることから、下肢静脈のどの範囲を利用するかを決めるのに有用と思われる。また、骨盤底の立位での下垂の有無については、これまで評価する十分な方法がなく、昨年、健常人でも立位で骨盤底は6~10mm程度下垂しており、女性に優位であることを昨年明らかにした。今年度は更に症例数を増やし、高齢になるほど下垂の程度が有意に大きくなることを明らかにした。このことは、排尿障害は骨盤底の弛緩が一つの要因とされているが、高齢女性に排尿障害が多いことの説明になると思われる。また、今年度は、排尿機能、嚥下機能のデータ取得を行っており、今後排尿障害や嚥下障害の原因解明を行うにあたっての基礎データになると思われる。更には、人工知能による自動運転時代のシートベルトの装着の仕方を検討するためのデータも取得した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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