研究課題/領域番号 |
17H04267
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
張 明栄 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 標識薬剤開発部, 部長(定常) (80443076)
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研究分担者 |
羽鳥 晶子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 標識薬剤開発部, 主幹研究員(任非) (20531528)
謝 琳 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 標識薬剤開発部, 研究員(定常) (30623558)
河村 和紀 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 標識薬剤開発部, チームリーダー(定常) (50401766)
藤永 雅之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 標識薬剤開発部, 主任研究員(定常) (70623726)
山崎 友照 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 標識薬剤開発部, 研究員(定常) (80627563)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | mGluR2 / PETプローブ / 画像化 |
研究実績の概要 |
申請者らは代謝型グルタミン酸受容体(metabotropic glutamate receptor, mGluR)の各サブタイプ(mGluR1-mGluR8)の陽電子断層撮像法(Positron Emission Tomography, PET)用分子プローブを開発している。現在までヒト脳内mGluR1やmGluR5を画像化できるPETプローブを開発し、様々な患者に対する臨床PET研究に提供してきた。今回の研究課題は、ヒト脳内代謝型グルタミン酸受容体2型サブタイプ(mGluR2)を画像化できるPETプローブを創出することを目的とした。mGluR2は統合失調症、認知症、うつ等の広範な脳疾患との関与が知られていながら、現在までにヒト脳内mGluR2を画像化できる有用なPETプローブは報告されていない。 これまでに申請者らは、mGluR2のpositive allosteric modulator(PAM)に対するPETプローブ化を行い、[11C]CMDCやCMDCの18F標識誘導体を開発した。これらの数種の11C/18F-標識プローブはインビトロにおいて、ラット脳切片を用いたインビトロオートラジオグラフィでは、線条体や大脳皮質などのmGluR2が高い領域に特異結合が認められたものの、ラット脳に対するPETでは、インビボ特異結合がほぼなかった。 そこで、2018年度では申請者らは開発する化合物候補をPAMから、negative allosteric modulator(NAM)に変え、新規なPETプローブである[11C]1 を開発した。インビトロオートラジオグラフィの実験では、大脳皮質、線条体、海馬、小脳などに高い[11C]1由来の特異結合が見られた。これらの分布パターンはげっ歯類動物脳におけるmGluR2分布と一致した。また、これらの放射能はmGluR2 のNAMであるMNI-137 によって阻害された。すなわち、インビトロにおいても、少ないながらもmGluR2 に対する特異結合が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代謝型グルタミン酸受容体2型(mGluR2)を標的とする数種の新規PETプローブを開発することができた。これらのプローブがインビトロにおいて高い特異結合を有し、また、インビボにおいても、低いながら脳移行性が認められた。これらの結果は有用なmGluR2のPETプローブ開発へ大きいヒントを与えた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで得られた結果を基に、2019年度からmGluR2のNAM化合物を中心に、新規NAM化合物を設計、標識合成し、インビトロ及びインビボ評価を行う予定である。また、米国などの研究機関と連携しながら、共同研究を推進し、有用なmGluR2のPETプローブ開発を促進したい。
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