研究課題/領域番号 |
17H04274
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
内藤 宗和 愛知医科大学, 医学部, 教授 (10384984)
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研究分担者 |
藤原 敦史 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (00748642) [辞退]
矢倉 富子 愛知医科大学, 医学部, 助教 (20722581)
西澤 祐吏 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (50545001)
平井 宗一 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70516054)
横見瀬 裕保 香川大学, 医学部, 教授 (80231728)
畑山 直之 愛知医科大学, 医学部, 講師 (80534792)
秦 浩一郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (90523118)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 臓器保存 / ガス |
研究実績の概要 |
近年の移植医療の発展に伴い、様々な臓器保存法が次々に開発され、現在も更なる技術開発が進んでいる。最近、申請者らは高圧メディカルガス(酸素(O2)1.5atmと一酸化炭素(CO)2atm)を用いた新しい臓器保存法を開発し、ラットの心臓を24時間保存して、摘出直後と同等の機能を保つことに成功した。 そこで、小動物(ラット肺)および大動物(イヌ肺)を用いて、この保存法の有効性を検証した。ドナーのラットとイヌから肺を摘出し、保存液(E T―KYOTO)で灌流した後、CO(1.5 atm)と酸素(O2; 2 atm)で満たされた耐圧チャンバー内に保存した。その後、20から22時間保存したラット肺をレシピエントに異所性頸部移植し、イヌ肺をレシピエントに同種移植した。 その結果、高圧メディカルガスで保存した群は、コントロールに比べて肺胞出血が優位に少なかった。また、、炎症性メディエーター(IL-6、IL-1β)は、高圧メディカルガスで保存した群は、コントロールに比べて優位に低かった。さらに、高圧メディカルガスで保存した群は、血中酸素濃度を保ことができ、移植後の血中の乳酸値が低下する傾向があった。この方法において、肺の内部を空気で満たした場合、C OとO2で満たす群よりも肺の状態が良いことが明らかになった。 このため、高圧メディカルガス保存法は、小動物の肺だけでなく、大動物の肺にも応用可能であることが示唆された。また、肺を保存する際には、外部から高圧をかけるだけではなく、内部にもガスが入るようにする必要があることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者らは、現在までの研究において、高圧をかけて臓器の外部からガスを内部に浸透させる臓器保存法を開発し、その有効性を明らかにしてきた。しかし、この方法には、臓器の内部までガスが浸透しないという欠点があり、大動物の実質臓器(ブタの心臓)では保存効果がほとんどないことが明らかになった。また、当初の計画にあった、メカニズムの解明は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画にあるように、ヒト培養細胞(血管内皮細胞、心筋細胞、平滑筋細胞、肝細胞)を用いてこの保存法の至適条件を検討する。
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