研究課題/領域番号 |
17H04277
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
梨井 康 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 移植免疫研究室, 室長 (60321890)
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研究分担者 |
西尾 佳明 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, RI管理室, 共同研究員 (80727347)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 移植免疫 |
研究実績の概要 |
現在行われている臓器移植後の免疫抑制療法は、獲得免疫機構によるT細胞の活性化を直接の標的とする事によりなされている。しかしながら、現在の免疫抑制 療法では、半永久的な免疫抑制剤の投与が必要であり、不必要な免疫抑制による副作用が問題となっている。本研究は、既存の免疫抑制剤による非特異的な免疫 抑制を廃し、「生体内での移植抗原特異的免疫制御環境の構築と移植抗原特異的免疫寛容誘導法の確立」を行う事を目的としている。 本年度は移植抗原特異的な免疫反応の制御に重要な役割を果たしている制御性樹状細胞(DCregs)の機能と移植抗原特異的免疫制御に関する理解を深めるために、DCregを用いた抗原特異的な移植免疫寛容誘導に関する検討を行った。 DCregを用いた免疫療法は移植拒絶反応対する有用な治療材料であると認識されている。本研究では、強力な免疫刺激下でも「安定した未熟期」にとどまる可能性があるDCregsをマウス誘導多能性幹細胞(iPSC)から分化誘導させ、iPS-DCregsが制御性T細胞(Treg)を生成するためのネガティブワクチンとして働き、ドナー特異的同種移植片受容を誘導するかを検討した。ナイーブCBA(H-2Kk)マウスにB6(H-2Kb)iPS-DCregを移入すると、TregがCBA脾細胞において有意に増加し、ドナー(B6)特異的に心臓移植片が永久生着した。ドナー型iPS-DCregがTGFβ1を分泌することにより、ドナー抗原ペプチドはナイーブCD4+T細胞を生体内でエフェクターT細胞の代わりに、ドナー特異的FOXP3陽性Tregに分化させた。これらの知見は、臨床移植における重要な細胞療法リソースとしてのiPS-DCregsの可能性を強く示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗原特異的な移植免疫寛容誘導に重要である制御性樹状細胞の機能とその応用についての治験を得られた。
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今後の研究の推進方策 |
動物移植モデルを用いた、免疫制御機構の解明とともに分子機構についても詳細な解析を行う。
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