研究実績の概要 |
本研究は、既存の免疫抑制剤による非特異的な免疫抑制を廃し、「生体内での移植抗原特異的免疫制御環境の構築と移植抗原特異的免疫寛容誘導法の確立」を行う事を目的としている。 本年度は、まず、移植前に自然免疫刺激を加え移植抗原特異的な免疫制御環境を構築する目的で、昨年度の研究成果を踏まえて、より強いMHCの組み合わせで(ドナー:B6, H2-Kbマウス、レシピエント:Balb/c, H2-Kdマウス)、マウス心移植の実験を行った。コントロールのグラフトの生存期間は(n=6; Mean±SD=7.5±0.84 days)に対して、抗CD4抗体単独投与では、グラフトの生存期間は(n=6; Mean±SD=26.3±12.18 days)で、抗CD4抗体の移植前投与を行うと共に、ドナー抗原であるペプチドを移植前6,4,2日に投与のグループでは、グラフトの生存期間は(n=6; Mean±SD=69.2±31.98 days)であった。顕著なグラフト生存期間延長効果を示した。 また、移植前プレコンディショニングによる移植抗原特異的免疫制御環境誘導系の確立の目的で、移植に先立ち、Zymozanの投与で自然免疫による刺激を加えることで、その効果について検証した。コントロールグループでは、B6(H2-Kb)マウスの心臓、C3H(H2-Kk)マウスに移植した。グラフトの生存期間は(n=21; Mean±SD=8.05±0.59 days)であった。Zymozanを用いて、様々な投与方法・投与量を検討したところで、最終的には、100ug;-3,3; i.v.の投与で、最もグラフトの生存期間(n=12; Mean±SD=61.75±35.27 days)が得られた。Zymozanが顕著なグラフトの生存期間延長効果を示した。 今後、上記二つのモデルでの移植後の免疫寛容誘導・維持機構の解明の検討を行う。
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